研究課題/領域番号 |
24510044
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 滋賀県琵琶湖環境科学研究センター |
研究代表者 |
早川 和秀 滋賀県琵琶湖環境科学研究センター, その他部局等, 専門研究員 (80291178)
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研究分担者 |
杉山 裕子 兵庫県立大学, 環境人間学部, 准教授 (40305694)
田中 仁志 埼玉県環境科学国際センター, その他部局等, 専門研究員 (40415378)
藤嶽 暢英 神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (50243332)
丸尾 雅啓 滋賀県立大学, 環境科学部, 准教授 (80275156)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | フミン物質 / 急性毒性 / フルボ酸 / フミン酸 / クラミドモナス / 溶存有機物 |
研究概要 |
琵琶湖水より大量抽出装置を用い溶存有機物のフミン物質を採集した。湖水約8.6トンより1.7 gのフミン物質を回収した。それを用いて、フミン物質の化学特性評価とクラミドモナスによる鞭毛再生阻害試験を行った。化学特性については、湖水中のフルボ酸とフミン酸のNMRスペクトルが得られ、糖質に関係するピークの特徴が得られた。藻類生長阻害試験では、クラミドモナスの鞭毛再生について、阻害影響がほとんどみられなかった。一方、他の研究予算で実施されたOECD化学ガイドラインに基づく藻類生長阻害試験では、130 mg/l以上の高濃度において生長阻害が確認された。それらより、当初に検討していた阻害試験方法では、2つの点で課題があることが分かってきた。1つは急性毒性的な評価では高濃度での影響を評価できるが低濃度での試験評価が困難であること、もう1つは急性毒性のような短時間の暴露でなく、長時間での暴露が影響を及ぼす可能性があることである。よって、さらに試験方法の検討が必要である。前者については次年度にさらに試験方法を検討することとした。後者は、寒天培地でのクラミドモナスに対して、フミン物質を塗布することにより、その影響を調べることとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1年目に藻類阻害の試験方法を確立する予定であったが、急性毒性の手法では十分な評価ができず、試験方法をさらに検討する必要が生じた点で計画より遅れが生じている。また、追加試験を行うため、さらにフミン物質が必要となったが、保有量が十分でないため、さらに追加採集が必要である。その他に関しては予定通りであり、今年度に鋭意努力することで遅れは取り戻せると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
まず、影響評価試験に不足するフミン物質を琵琶湖水から追加採集する (7月予定)。フミン物質の化学特性の評価は、さらにフルボ酸、フミン酸のNMR、FT-IRなどのスペクトル解析を進めるとともに、光学的な特性からも特性評価を試みる。生物影響評価については、琵琶湖水フルボ酸を用いたクラミドモナスの長期暴露型の成長阻害試験を実施する。また、クラミドモナスの栄養塩取り込み時に影響を及ぼすフミン物質のキレート作用メカニズムの観点から試験方法を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
顕微鏡画像解析ソフトについて、当該年度はメーカーのモデル改新や、使用するパソコン本体の不調により、購入を見送ったため、次年度にて購入する予定である。その他は試験のための消耗品費や研究打ち合わせ、学会参加などの旅費、試験を補助する補助員人件費などに用いる予定である。
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