研究課題
フルボ酸が藻類へ及ぼす影響の1つに、化学物質の阻害を緩和させる機能がある。前2か年では、琵琶湖フルボ酸からは琵琶湖の現存濃度では生態毒性影響は確認できなかったため、化学物質共存下の阻害について、クラミドモナスの鞭毛再生への影響を調べた。琵琶湖フルボ酸と、微小管重合阻害剤オリザリンの共存下において、クラミドモナスの鞭毛再生試験を行った結果、琵琶湖フルボ酸による鞭毛再生阻害及びオリザリンの鞭毛再生阻害の緩和作用は確認できなかった。オリザリンは比較的疎水性が強いことから、フルボ酸とオリザリンの接触時間を長くした場合には,鞭毛再生に対する影響が見られる可能性があった。また、これまでの成果をまとめ、国際河川湖沼管理シンポジウム(韓国春川市)にて発表を行った。さらに、フルボ酸の検出にかかるモニタリングや蛍光スペクトルの論文を作成した。我々の研究では、琵琶湖のフルボ酸の毒性は琵琶湖の濃度において確認されなかったが、毒性効果のすべてを否定するものではない。フルボ酸よりも毒性が強いとされるフミン酸などでも調べる必要がある。しかし、琵琶湖においてフミン酸の存在量はフルボ酸の1/5程度であり、琵琶湖水中のフミン酸の化学組成はフルボ酸と類似していることから、我々の試験結果と極端に異なる結果は予想しにくい。以上のことから、現時点ではフミン物質を代表とする難分解性有機物に生物への急性毒性は問題にならないと考える。
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