国際環境法や国際人権法の先住民族文化に関する条項を検討し、北欧のサーミ政策と日本のアイヌ政策との比較研究を行うことによって、「二風谷地域の伝統文化の再生と地域環境の保全にはアイヌ民族のエンパワーメントが不可欠であること」を原理的に明らかにした。具体的にいえば、生物多様性条約8条j項は、先住民族の伝統的知識(TEK)が生物多様性の持続性に寄与することから、その保護を求めるものであるが、日本の生物多様性基本法にはそれに対応する条項がなく、アイヌ・コミュニティの生物多様性の保全が危ぶまれていることを明らかにし、国際人権規約など国際人権法に照らして日本政府は直ちに対応すべきだとした。
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