研究課題/領域番号 |
24510047
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
三村 信男 茨城大学, 地球変動適応科学研究機関, 教授 (60133089)
|
研究分担者 |
田村 誠 茨城大学, 地球変動適応科学研究機関, 准教授 (10376585)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 国際情報交換 |
研究概要 |
研究の1年目として課題の整理及びベトナム、インドネシアなどを対象に分析を行った。第一に、科学アプローチと地域アプローチの双方から適応策のあり方を整理し、日本の適応研究の現状と課題を明らかにした(Tamura et al., 2013; 田村, 2012)。さらに、アメリカ・アリゾナでの国際会議に参加し、適応策研究の現状に関する情報を収集すると共に、科学的知見と適応策立案のギャップを埋める方策について意見交換を行った(Tamura, 2012)。 次に、ベトナム・ホーチミンにおいてメコンデルタでの脆弱性評価と認知アンケート調査の分析結果を発表した(Tamura, 2013)。前者は、海面上昇、自然災害、人口、貧困などのデータや予測値を組み合わせてメコンデルタで脆弱な地域を同定した。後者はCa Mau、An Giang、 Soc Trang省で1350人(50名*27地区)を対象に災害経験や適応策に関するアンケート調査を実施し、大規模洪水、台風の順にリスクが大きいと認知されていること、現状では家屋の補強や高床化などの適応策を講じていること、とはいえ地区毎に想定される自然災害が異なるのできめ細やかな適応策が求められること、などの知見を得た。また、インドネシアでは、主要な産業である米作に対する気候変動の影響が懸念されるため、経済政策やパーム林への土地利用転換との関係について資料を収集し、相互関係の分析を行った。 さらに、統合的緑地計画の政策である「緑のインフラ」の気候変動適応策への貢献について検討し、気候変動適応策の研究者が集まる国際シンポジウムに参加し口頭発表した。この会議を通してアジア各国の適応策担当者、国連等国際機関の実務者、アジア開発銀行の担当者などと会談し、アジアにおける適応策研究に関する情報収集を可能にした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ベトナム、インドネシアなどを対象として、政府主導型適応策では国家適応計画(NAPA)など、また、コミュニティ主導型適応策では国際会議報告集など、主要な影響分野における適応策に関するデータを収集した。また、脆弱性や隘路の分析の枠組みを決定した。以上のように、当初の計画通り研究を進め、論文や国際会議等で成果発表を行うことができ、順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
研究計画の変更はない。 適応策の隘路と打開策について理念整理はある程度できたので、今後はその要因の分析を行う。そのため、今後はメコンデルタ、インドネシア等での事例研究を通じて、政府主導型とコミュニティ中心型それぞれについての分析を進める。同時に、防災、農業、統合的緑地計画といった個別政策分野の分析も行う。
|
次年度の研究費の使用計画 |
(1)現状分析のための情報収集:できるだけ広範な資料の収集を継続する。また、インドネシアは、JICAの援助の下で、国レベルの気候変動緩和・適応戦略を策定中であるため、インドネシアを中心にして国の中長期開発計画と気候変動適応策の関係をより詳しく調査si、気候変動の下で必要とされる適応力レベルを検討する。 (2)隘路の分析:24年度に決めた隘路分析の枠組みに沿って分析を行い、中間的な結果を得る。 (3)打開策の検討と提案:政府主導型適応策とコミュニティ主導型適応策の利点を組み合わせたアプローチが重要であると考え、その具体化のために、段階的アプローチや中央政府と地方政府、コミュニティ、NGO等の役割分担などに関する打開策を検討する。同時に、防災、農業、統合的緑地計画といった個別政策分野の分析も行う。
|