• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2013 年度 実施状況報告書

省エネルギー・環境分野における中国企業の技術キャッチアップシステムと日本の対応

研究課題

研究課題/領域番号 24510053
研究機関九州大学

研究代表者

堀井 伸浩  九州大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (10450503)

キーワード国際研究者交流 / 中国 / 技術 / エネルギー / 再生可能エネルギー / 省エネルギー / キャッチアップ / 社会システム
研究概要

本年度も昨年に引き続き、日中関係の悪化が継続した影響が少なからず研究の進捗に影響を及ぼしたと言わざるを得ない。特に年度末の春休みに集中的に調査を行おうと計画したいたのであるが、12月の安倍首相の靖国神社参拝に中国政府が強く反発したことを受け、フィールドワークの対象として考えていた企業も春休みの時点では訪問を断ってきた。その結果、熟慮の末、研究実施に制約のある中で無理に調査を進めても乏しい成果に終わってしまうリスクを回避し、最終年度である平成26年度に、それも随時調査可能な時期は夏休みであれ、たとえ学期中であっても臨機応変に、機動的に調査を組織できる態勢を整えることで臨むことを決断した。
とは言え、夏休みには天津において予定通り、風力発電設備産業と太陽電池産業に関するフィールドワークを組織することができた。予定していた原子力に関する調査については、予想以上に企業のガードが固く、フォールドワークは実施できなかったものの、内部資料も含め、有用な資料を確保できた。また当初計画には盛り込んでいないが、ここ数年中国で大きく投資が拡大している石炭化学産業は本研究の問題意識に合致するところが多いことが夏に北京で行われた会議出席を通じて知ることとなった。平成26年度は石炭化学もケーススタディとして分析対象に加える予定である。
他方で、本年度は本研究課題に関わる成果として、学会報告を5件(うち2件は国際会議)、論文を4件、発表することができた。最終年度にはより一層、成果の発信に注力することとしたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

既に研究実績の概要の部分において述べた通り、日中環境の悪化によって、計画の中にあったアンケート調査は実現できておらず、またフィールドワークについても夏はほぼ計画通り実施できたが、春休み中は断念せざるを得なかった。しかしながら昨年よりは改善し、風力発電設備産業については個別企業の調査も実施できたことは明るい材料である。当初予定では、平成25年度に石炭火力の高効率発電に関するフィールドワークを実施することとなっていたが、結局実施できていない。但し、平成24年度に予定していた風力と原子力についてはほぼ完了し、成果発表も行っている。したがって若干の遅れであると自己評価している。
本研究は研究代表者のフィールドワークを中心とした調査に加え、中国の共同研究者の招へいなど国際研究者交流であることより日中関係の推移という外部要因の影響を受けざるを得ない。しかし関係悪化が常態化する中、そうした悪い外部環境の下でも研究を遂行できるよう、平成26年度は態勢構築を進めていく所存である。

今後の研究の推進方策

事業計画の中で挙げられていた中で未完成のケーススタディとして、石炭火力高効率発電(但し、これは石炭化学で代替することを検討中)とスマートグリッドについては来年度早い時期に調査の実施態勢を構築し、機動的に実施を可能にすることで対応することとしたい(実際、4/9-12に北京に出張し、協力機関に対し準備と環境が整い次第、実施することを確認した)。フィールドワークに関しては、状況の推移をみながら機動的に対応することできっちりと遂行することとしたい。
他方、事業計画には盛り込んでいたが、これまで実施できていないアンケート調査については日中関係の改善が見込めない中で、準備期間に長期間を有するアンケートの実施は非常に困難であること、また当初申請額よりも減額されて予算制約もあることを鑑み、フィールドワークをより綿密に行うことで代替する方向で対応することとしたい。一方で、研究協力者の招へいについては最終年度である平成26年度は実施する方向で準備を進める所存である。

次年度の研究費の使用計画

既に研究実績の概要と現在までの達成度で記載した通り、事業計画の申請時点では想像しえなかった日中関係の悪化という研究外部環境の悪化により、アンケート調査とフィールドワークが掣肘されていることが計画と実施の間でかい離が生じている最大の理由として挙げられる。
既に次年度の使用計画に関する記述においても記載した通り、アンケートについては実施を断念するが、その代替措置として綿密なフィールドワークを計画よりも短期間であっても高頻度に(機動的に)実施することで研究外部環境の悪化に対応した調査実施態勢を構築する。また計画に盛り込んでいた研究協力者の招へいについては平成26年度においては実施する方向で計画中である。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] 「原子力大国として台頭する中国-急成長の背景とリスク」2014

    • 著者名/発表者名
      堀井伸浩
    • 雑誌名

      高橋伸夫編『アジアの「核」と私たち-フクシマを見つめながら』慶應義塾大学東アジア研究所・慶應義塾大学出版会

      巻: なし ページ: 133-177

  • [雑誌論文] 「中国の大気汚染対策の進展と」PM2.5問題の真相-見えてくる日本の対中環境協力の死角-」2014

    • 著者名/発表者名
      堀井伸浩
    • 雑誌名

      『PETROTECH』

      巻: Vol. 37, No.4 ページ: 279-284

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 42. 「第12次5カ年規画とPM2.5問題で加速する中国の大気汚染対策-日本企業にとってのビジネスチャンス-」2013

    • 著者名/発表者名
      堀井伸浩
    • 雑誌名

      『月刊中国経済』

      巻: 7月号 ページ: 32-57

  • [雑誌論文] 「風力発電設備産業:キャッチアップ過程に政策の果たした機能」2013

    • 著者名/発表者名
      堀井伸浩
    • 雑誌名

      渡邉真理子編著『中国の産業はどのように発展してきたのか』勁草書房

      巻: なし ページ: 134-157

  • [学会発表] 「グリーンイノベーションにおける新興国の優位性:成長する中国の風力発電からの考察」2013

    • 著者名/発表者名
      堀井伸浩
    • 学会等名
      産業学会西部地方部会
    • 発表場所
      九州大学
    • 年月日
      20131130-20131130
  • [学会発表] "Change of Japan’s coal policy after 3.11 Fukushima accident: Heightened expectation for CCT"2013

    • 著者名/発表者名
      Nobuhiro Horii
    • 学会等名
      The 4th World Clean Coal Week China Focus 2013
    • 発表場所
      Xinjiang Plaza, Beijing, China
    • 年月日
      20131024-20131024
    • 招待講演
  • [学会発表] "The Pricing Reform in China’s Energy Industry and its Effect on Clean Technology Development"2013

    • 著者名/発表者名
      Nobuhiro Horii
    • 学会等名
      The 3rd Low Carbon Earth Summit-2013
    • 発表場所
      Qujiang International Conference Center, Xi'an, China
    • 年月日
      20130927-20130927
  • [学会発表] 「中国式グリーンイノベーション:風力発電設備産業の成長要因からの考察」2013

    • 著者名/発表者名
      堀井伸浩
    • 学会等名
      中国経済学会第12回全国大会分科会「環境経済」
    • 発表場所
      京都大学
    • 年月日
      20130623-20130623
  • [学会発表] 「持続可能な再生可能エネルギー導入体制の構築に向けて:中国における風力発電設備産業の成長からの考察」2013

    • 著者名/発表者名
      堀井伸浩
    • 学会等名
      産業学会第51回全国研究会共通論題
    • 発表場所
      専修大学
    • 年月日
      20130609-20130609
    • 招待講演

URL: 

公開日: 2015-05-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi