研究課題/領域番号 |
24510054
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研究機関 | 山梨県立大学 |
研究代表者 |
箕浦 一哉 山梨県立大学, 国際政策学部, 准教授 (10331563)
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キーワード | サウンドスケープ / マネジメント / 社会的文脈 / 地場産業 / 国際研究者交流 |
研究概要 |
本研究は,良好な地域音環境を保全するためのマネジメント手法について,騒音暴露の物理量だけでなく,住民が地域生活を通じて共有してきた社会的文脈を重視して考察することを目的とするものである。この目的のもとに平成25年度は主に以下の事項を実施した。 ・音環境マネジメントに関する検討:音環境のマネジメントに関連する社会的・学術的動向について,文献および研究会等への参加により,情報の収集・整理・検討をおこなった。とくに欧州を中心とした音環境研究と騒音政策の動向について検討した。また,景観マネジメント,環境社会学等の関連分野の情報収集を行った。 ・事例調査の実施:京都府京都市,山梨県富士吉田市の絹織物産地を事例として取り上げ,地場産業音と地域の社会的文脈との関係についてのフィールド調査を継続して実施した。音環境の観測と住民からの聞き取り調査を実施するとともに,文献資料収集と整理を行った。結果の一部は国際学会で報告した。また,山梨県富士吉田市が防災行政無線で放送する時報チャイムの取り扱いに関する事例調査を実施し,結果を学会にて報告した。 ・音環境記述方法の検討:地域音環境の記述において音源情報と物理量を同時に表現するための方法について検討した。 ・地域音環境に関する住民意識の分析:過去に地場産業地域等で実施した自由記述式質問紙調査結果のデータについて,テキストマイニングソフトウェアを活用した分析を実施し,分析方法の検討を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書の研究実施計画に記した各項目についてそれぞれ想定に近い進捗状況であり,おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
現地調査および文献調査で得られたデータを整理し,現場での社会的文脈が音環境に関する住民意識にどのような影響を与えているのかを検討する。事例としては,京都市および富士吉田市の絹織物産地を中心に分析する。歴史資料,聞き取り調査,音環境観測結果等を組み合わせたモノグラフ的記述と,テキストマイニングの方法を用いた分析の2つのアプローチによって研究成果を取りまとめる。また,平成25年秋からオランダ・フローニンゲン大学を拠点として実施している欧州の音環境マネジメントに関する情報収集を継続して実施する。これらに加えて,サウンドスケープ概念の政策学的応用について検討し,社会的文脈を考慮した音環境マネジメントのあり方について考察する。
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次年度の研究費の使用計画 |
調査補助謝金,投稿料,反訳委託費等の支出が現段階までに当初想定より少なかったため。 オランダ・フローニンゲン大学を拠点とした調査・研究に伴って必要となる欧州内での旅費を支出する。また,翻訳,英文校正等の委託費,論文投稿料,文献購入費,消耗品費,調査補助謝金等の支出を予定している。
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