本研究は,良好な音環境を保全するためのマネジメント手法について,住民が地域生活を通じて共有してきた社会的文脈を重視して考察することを目的とした。このために,欧州の騒音政策の動向と,サウンドスケープ概念の社会的側面の位置づけについて,文献による検討をおこなった。住民反応と社会的文脈の関連を検討する事例として,日本の織物産業地域および欧州の大学都市における調査を実施し,地域住民や関係者が音環境について述べる言説を分析した。また,マネジメントの過程の事例として,時報放送に関する行政の意志決定プロセス,景観保全活動における市民と行政との協働の事例を調査した。
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