研究課題/領域番号 |
24510055
|
研究機関 | 滋賀県立大学 |
研究代表者 |
高橋 卓也 滋賀県立大学, 環境科学部, 准教授 (20336720)
|
研究分担者 |
奥村 進 滋賀県立大学, 工学部, 教授 (70204146)
香川 雄一 滋賀県立大学, 環境科学部, 准教授 (00401307)
|
キーワード | 合意形成 / 土地利用計画 / カナダ |
研究概要 |
整数計画法を用いて、滋賀県多賀町の森林計画を試行した。目的変数は伐採木材の材積であり、制約条件は、伐採を1回のみ行うこと、各期の伐採量の変動を一定以下に抑えることである。人工林の林小班(森林の取り扱いの単位)488件についての、10年を1期とする10期100年間におよぶ計画である。基礎的な定式化を行い、最適化を実施した。現実の多数の林小班について、所与のデータに基づいて、森林計画の定式化が可能であることが確認できた。具体的には、現在の森林の森林簿データよりベイズ統計手法によって成長曲線を求め、各小林班についてパラメーターを推定し、それらパラメーターに基づいて、将来の林木の成長を予測した。この手法により、既成の収穫表を使わずに、将来の収穫量を予測できた。 この最適化の結果として、伐採量の変動を抑えると齢級バランスがとれた法正林へと誘導されること、現実の伐採量と比べて潜在的な伐採量は4倍近くあるが、林道の近くで伐採するという条件下では、現状の伐採量が現実的であることなどが分かった。 現実の多数の林小班について、長期間にわたる最適化ができることを確かめることができた。これまでの多くの日本国内の研究では少数の単純化された単位から構成される森林に関して最適化をしており、この点で前進が見られる。 現在、市町村が、国・都道府県からの天下り方式ではなく、より自主的にやり方で森林整備計画を立案することが求められている。その点で、本研究はそのための有効な手法の開発につながるものと考えられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
セル・オートマトンによる分散型シミュレーションの実際の森林への複雑な状況のもとでの適用が遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
最適化手法による森林計画については、伐採費用、保育費用をさらに現実的な値に置き換えて適用する。伐採パターンについてもさらに現実的なものを想定する。また、環境制約を適用するか、または環境目的変数を導入する。たとえば、尾根における人工林の禁止、沢での伐採禁止を制約条件として適用する。さらには、現実的かつ政策的に意味のある処理、たとえば間伐の繰り返しによる高齢林化、二段林化、環境林化を決定変数として導入する。 セル・オートマトンによる分散型シミュレーションについては、多賀町の森林への適用を進めていく。
|
次年度の研究費の使用計画 |
補助作業者の雇用が予定ほどに行われなかった。 補助作業者の雇用を必要な範囲で積極的に行う。
|