研究課題/領域番号 |
24510057
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
まくどなるど あん 上智大学, 地球環境学研究科, 教授 (80625012)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 海女さん / 気候変動 / 環境変化 / 適応力 / 適応策 / 漁業権 / 入り合い |
研究概要 |
本研究は、温暖化が進むなか、脆弱性が高いと言われている小島・離島の漁村や伝統漁法に従事する漁民を対象とする研究である。温暖化に伴う環境変化をはじめ、変化にどう適応しているのか、またしていないのか、現場から調査し、変化に適応できるような気候策など政策を提言することを本研究の研究課題とする。 7月1日から9月30日の夏期は、舳倉島周辺でアワビとサザエ潜りは中心的な漁業活動であり、冬期は岩のりやナマコや天然生ガキの採取、春はワカメをはじめとする海藻類など、年中海に潜る石川県能登半島輪島と舳蔵を拠点とする海女さんを研究対象とし、季節ごとにどのような活動を行うのか、年々海や海女さんの活動には変化があるのかについて、季節ごとの聞き取り調査を行っている。 現場調査をベースにした上で、気候変動・温暖化における適応策について追求する。今もなお伝統知識を持つ海女さんは、700年以上前から、海女漁において代々海に関する伝統知識が語りつがれてきた。温暖化現象が進むなかで海が変化し、海女さんである彼女達が有する伝統知識が、その変化に適応できる力やポテンシャルおよびその限界について追求することが政策立案のためもっとも重要なことであると考えている。 また、海女さんを対象とする季節ごと聞き取り調査と同時に、気候変動に関する政府間パネルの日本政府環境省の政府レビューチームの一員として、気候策や適応策も同時に研究している。現場調査と政策側の調査をベースにした上で下記を検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
理由は複数挙げられる。調査のための海女さんの確保は、企画段階で想像した以上に、難しい。現場にいる時間が限られたなかで、一人一人のゆっくりとした聞き取り調査インタビューは困難である。そのため、インタビューと執筆をお願いするアンケートをつくり、海女さんにお願いしたが、そこで発見したのは50代から94歳の間の海女さんのなかで、字を書けない人が多く、外国人の自分が変わりに日本語を記入しないとインタビューに応じてくれない事実・事情に衝突した。海士町会長と磯入り組合長などいわゆるコミュニティーリーダーの協力を得ながら行っているが、それでも思ったより時間がかかり、成果はやや遅れている。舳倉島在住の海女だけを対象にすると最小思いましたが、少人数の上、年配の方が多く、年齢幅がないため、輪島市海士町在住の「通い海女」と呼ばれている海女、つまり輪島から舳倉島へ通って潜る海女、または舳倉島の手前にある七ツ島でも潜る海女を研究対象に含めなければ期待する研究成果を得られないことことに気づき、研究対象を新たに入れて、それも追っていくことにはやや遅れている。また、陸上だけでの聞き取り調査方式の限界に気づき、一緒に海に潜り、海女さんが語る海だけではなく、海女さんが実際潜り、観察している海の中の海女さんの姿も調査しなければならないと判明し、現在ダイビングライセンスを獲得している最中である。今年度の夏季から海の中での調査へ広げる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
初年度は、およそ30人を対象にしたが(理由は上記に記述)、よりよい成果をあげるには、聞き取り調査対象とする海女さんを増やさなければならないと考えている。企画案と初年度では舳倉島在住の海女を対象にしたが、少人数の上年配の方が多く、年齢幅が狭いため、輪島市海士町在住の「通い海女」と呼ばれている海女、つまり輪島から舳倉島へ通って潜る海女、または舳倉島の手前にある七ツ島でも潜る海女を研究対象にすることにした。そのため海士町会長と磯入り組合長などいわゆるコミュニティーリーダーの協力を得て、また研究対象の海女さんの協力の了解も得ており、春に現場での活動が行われる予定である。今年度は聞き取り調査対象を広げることは優先だが、それに、陸上だけの調査ではなく、海の中まで調査範囲を広げることも重要である。陸上だけでの聞き取り調査方式の限界に気づき、海女さんが語る海だけではなく、海女さんととも海に潜ることで、海女さんを自身が体験し、参与観察を行う。そのため、現在ダイビングライセンスを獲得している最中である。7月1日から9月30日にかけて舳倉島周辺でアワビとサザエ潜りの漁業活動を追うため、現場での滞在日を昨年より増やさなければならない。 海中の海女さんを調査していくため協力者が必要である。昨年は一人一人の海女さんにはその日その日の漁場、つまり潜った場所をマッピング・地図に記してもらったが、今年度は、一緒に潜り魚場の海中写真、海の状態と海女さんの潜る姿の記録を採ることにした。このために、プロの写真家の協力が必要となるため、研究費は調査協力者に使う予定である。 海女さんとの一人一人の聞き取り調査と同時に季節ごとに協力者を集めて、勉強会を開く予定である。今年度政策に関わる方々のインタビュー、市町村レベルから県、そして国まで、のインタビューを実地調査を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度の研究費使用計画は、以下の通りである。(1)旅費・舳倉島などのフィールド調査にかかる旅費(2)調査協力者への人件費および謝金。調査協力者としてのカメラマンへの謝金、その他、協力者らへの謝金、研究費補助業務のためのアルバイト給与(3)物品、フィールド調査のための道具の購入(スキューバーダイビングの道具一式)文献研究のための書籍の購入(4)印刷費用、資料収集のためのコピー代(5)会議費。勉強会開催のための費用
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