地域環境に特化した気候変動適応策には、社会文化的な背景を考慮することが不可欠である。漁業における女性、性と気候変動というテーマは未発達の研究分野であるため、海女漁を事例に、小規模漁業コミュニティーにおける適応策を探索した。2012~15年まで現地調査を行った結果、3つの適応能力(限られた空間における資源の有限性の認識、海を体感することで得られるフィードバック能力、「海女」という性的・文化的なアイデンティティーの所有)を確認した。多くの適応能力は、「漁業者の生態学的知識(FEK)」と関連している。FEKは過小評価されがちだが、政策議論に組み込めば、総体的なアプローチによる資源管理を促すだろう。
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