研究課題/領域番号 |
24510058
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
小林 孝広 東海大学, 海洋学部, 講師 (50386653)
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キーワード | マングローブ汽水域 / 意思決定 / 地域組織 / 地域比較 / 世帯生計戦略 / コモンズ |
研究概要 |
本研究は、汽水漁場の持続的な利用条件を、外部経済を媒介する各漁家世帯の意志決定プロセスに加え、特に、世帯間交渉(住民の組織化とその運用戦略)に照準を合わせ、汽水漁場の持続可能性を地域の特性を加味しながら検討することを目的としている。 本研究では、フィールドワークもとづき、世帯活動の民族誌的分析を通して、漁場の過剰利用の実態とそれを生み出す地域の特性を分析する。3年の予定で次の3点の解明をめざしている。(1)汽水漁場の「過剰」利用の実態把握、(2)各世帯の資源利用と経済活動の多様性とそれら世帯生計戦略を支える価値や規範、(3)汽水漁場の利用秩序と世帯間の交渉、地域特性の機序。 研究の2年目にあたる2013年度は、(2)各世帯の資源利用と経済活動の多様性とそれら世帯生計戦略を支える価値や規範の解明を主題とし、漁家世帯はどのような資源を利用し、どのような経済活動を組み合わせて生計戦略を組み立てているのかについて聞き取り調査を実施した。しかし、調査序盤の体調不良の影響で、アルタバス・サイドの調査を断念し、イビサン町での調査に集中することとなった。世帯生計戦略に関しては、特に女性の副業とされるサリサリストアと漁労活動の絡み合いと、その経年変化について聞き取り調査を実施した。また、6月に急遽、2014年2月、3月の41日間、所属する大学の海外研修航海に参加せざるを得なくなったため、この期間に予定していた現地調査を取りやめ、本研究に関連する生業論及びコモンズ研究の文献レビューを行うこととした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初計画では、2013年度に、各世帯の資源利用と経済活動の多様性とそれら世帯生計戦略を支える価値や規範を明らかにするために、主にアルタバス町を中心にして、漁家世帯はどのような資源を利用し、どのような経済活動を組み合わせて生計戦略を組み立てているのかについて、調査を実施予定であった。しかし、調査序盤の体調不良のため思うような十分な調査が実施できておらず、また、急な校務で2月、3月に補充調査を実施することが出来なくなったために、調査の実施を次年度8月、9月に繰り越すこととなった。しかし、現地調査以外では、必要な文献のレビューを行うことが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
2013年度に、十分実施できなかった(2)各世帯の資源利用と経済活動の多様性とそれら世帯生計戦略を支える価値や規範についての調査は、土砂堆積による漁場環境の悪化に直接関連するといわれるエリ漁(taba、tigbakoe)とカキ養殖漁家世帯に対象を絞り、また対象世帯を吟味の上、事例研究として分析内容の充実を図ってゆく。またあわせて、(3)世帯間の交渉と地域特性生成の機序に関しても、エリ漁とカキ養殖世帯を中心に、典型的例を割り出し、世帯数を絞り込んだ上で、その特徴を明らかにしていく。 最終年度の主要課題である後者に関しては、各世帯の生計戦略を、コモンズ研究の枠組みを利用する中で吟味し、対象漁場を「共に利用する」という点で、それぞれの世帯がどのような関わり合いをもっているか、そこにみいだせる共同性とはいかなるものであるか、漁場利用の秩序形成と世帯間交渉はどのような関係にあるのか、世帯間交渉のどのような要素が、漁場過剰利用に対する行動を規定しているのかを明らかにしていく予定である。また、研究成果の発信として英文にて報告書を作成し、各パートを論文として投稿する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
2013年6月に急遽、2014年2月、3月の41日間、所属する大学の海外研修航海に引率教員として参加せざるを得なくなり、この期間に予定していた現地調査を取りやめざるを得なかったため。 2015年3月にフィリピン・パナイ島イビサン町及びアルタバス町で14日間の補充調査とともに関係機関にて成果の報告を行う。次年度使用額は、上記の旅費と滞在費に充当する予定である。
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