研究課題/領域番号 |
24510060
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
古澤 礼太 中部大学, 中部高等学術研究所, 講師 (70454379)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 持続可能な開発のための教育 / ESD / 生命地域 / 流域圏 / RCE / ESD地域拠点 |
研究概要 |
本研究の初年度である2012年度は、主に調査対象地におけるESD(持続可能な開発のための教育)の実践としての「伊勢・三河湾流域圏ESD講座」(主催:NPO法人愛・地球プラットフォーム、中部ESD拠点協議会)の実施に携わり、事業の促進と調査研究を行った。 「伊勢・三河湾流域圏ESD講座」は、流域圏全域におけるESDの取組みであり、まず地域の課題と、それに取組む主体の調査を行った。具体的には、モデル地域の調査:伊勢・三河湾11河川の上・中・下流からそれぞれモデルとなる教育機関やNPO・市民活動団体などステークホルダーを選別するために、それぞれの河川に流域圏リーダーを認定するなどして、調査・情報収取を行った。さらに、各流域において、地域に根差した諸問題に取り組むNPOや教育機関を選別し、当該団体の協力を得て、活動の更なる発展に寄与するESD講座を実施した。講座は、11河川に加えて愛知用水(知多半島)の計12河川流域圏で上・中・下流の3か所で36講座を実施した。また、2月10日には、流域33+3地点での全講座の報告および交流の会を開催した。伊勢湾・三河湾を共有する地域の市民として、環境問題のみならず、社会や経済の課題を共有し、流域単位での持続可能な地域づくりの意義を議論した。 一方、世界のRCE(国連大学認定ESD地域拠点:2013年3月現在世界116か所)の中から生命地域をテーマとして活動を続ける拠点の情報収集に関しては、インドネシアで開催されたアジア・太平洋会議や韓国で開催されたRCE世界会議において聞き取り調査を行い、来年度の調査に向けた準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の初年度の達成度に関しては、概ね計画通りに進んでいる。この大きな理由は、中部ESD拠点が新規事業として立ち上げた「伊勢・三河湾流域圏ESD講座」を本研究対象のひとつとしているが、筆者は当該事業の運営にも関わっているため、研究計画に沿って事業の展開およびその調査を行うことができた点にある。研究計画においては、下記の通り、平成24年度と25年度に研究活動を行うこととした。平成24年度・平成25年度:①中部ESD拠点による伊勢・三河湾流域圏における「縦糸(11主要河川)と横糸(多様なテーマ)」の情報交流を通したESD活動の研究。②中部ESD拠点のこれまでの流域圏活動情報の整理、分析。③中部ESD拠点の11流域(×上流・中流・下流)33出前講座プロジェクトの企画・助言・実施。④世界88RCEの生命地域プロジェクトの抽出・情報収集・分析。⑤世界88RCE内の主要RCE3か所での現地調査(ヒアリング・アンケート等)。 この中で、①②③である、流域圏の調査および伊勢・三河湾流域圏にある11主要河川の上流・中流・下流域におけるESD講座(11×3=33講座)は計画通りに実施した。特に③に関しては、愛知用水を加えた12河川計36か所でのESD講座を実施し、2月10日には全体の発表交流会を行い、流域圏単位で持続可能な開発ための教育を実施する意義について議論を行った。 生命地域単位でのESD推進に関わる国際的な調査(④⑤に該当)に関しては、2012年9月に韓国で開催されたRCE世界会議に参加し、ヒアリング調査を行ったが、生命地域の概念を踏まえたESD推進を行っているRCEの確定に時間がかかったため、アンケート調査の実施には至っていないが、次年度に対面調査を含めて実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては、引き続き、東海・中部地域における生命地域である流域圏を対象地としたESDの推進を行い、その有効性を評価する。特に、「伊勢・三河湾流域圏ESD講座」の実施を通して、環境・社会・経済面での諸課題をいかに生命地域の住民が共有し、持続可能性を高めるための教育や学習を推進できるかに着目する。 具体的には、伊勢・三河湾流域圏ESD講座における、初年度の人的出会いや課題の掘り起しを踏まえ、地域のキーパーソンを集めてワークショップを開催する。また、前年度の36講座に加え、中部ESD拠点の事業として「伊勢・三河湾流域圏講座」を継続し、新たに約30の講座を実施する予定である。2014年の国連「ESDの10年」最終年には東海地域の流域圏における約100の課題を明らかにして、その解決に向けたESDネットワークの拡充を図る。 国際的な生命地域ESDの研究においては、前年度の調査成果を踏まえ、主要な生命地域活動実施RCEにて現地調査を行う。また、2014年の「ESDユネスコ世界会議」に合わせた成果報告を行うことをめざして、国内外の研究者との情報交流を引き続き行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は、主として伊勢・三河湾流域圏におけるESDの推進に関わる調査研究を行った。国際的な生命地域を基礎としたESDの調査に関しては、海外の研究者との対面での学術交流を含め、次年度以降に集中的に行うこととしたため、2013年度は、海外調査の出張費の出費が多く見込まれる。 国内においても、中部以外のESD地域拠点における研究者と連携した調査研究を行うため、次年の予算に旅費を確保している。具体的には、RCE仙台広域圏における調査を年度の初めに計画している。また、2014年の「ESDユネスコ世界会議」に向けた聞き取り調査や打ち合わせに関しても、2013年度にそれらの機会が集中することが判明したため、本年度に出費を抑えた出張旅費を翌年度請求研究費と合わせて計上し、活用する予定である。 加えて、伊勢・三河湾流域圏におけるESD講座の推進・誘導に関わる経費を要する。これらは、文具や会場費等である。また、研究補助アルバイト経費やアルバイト用のPCや通信機器等の機器の購入費を予定している。
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