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2013 年度 実施状況報告書

生活者の多様な厚生とコンフリクトを考慮した流域水環境マネジメントに関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 24510061
研究機関佛教大学

研究代表者

萩原 清子  佛教大学, 社会学部, 教授 (00198649)

キーワード階層的厚生 / 持続可能性 / ウエルビーイング / 階層的多基準分析
研究概要

平成25年度の研究計画に沿って実績を示す.
1.生活者の階層的厚生の構造に関する研究
鴨川上・下流域での社会調査結果をもとにKJ法により調査項目をグループ分けした.ついで得られたグループ間 の関係の強さをクラメールの関連係数を用いて表した.以上より,各地域の生活者の関心(厚生)の構成要素を求めた.ついで,社会調査結果に数量化理論第III類を用いて各地域の環境評価に重要な軸を明らかにし,得られた軸 の総合評価として生活者の環境評価関数(厚生関数)を作成した.この環境評価関数を用いて環境構成要素(厚生の構成要素)に対応するスコア―を求め,スコア―値の大小により厚生の階層構造を捉えた.
2.多様な生活者の階層的厚生に対応した意思決定支援としての多基準分析に関する研究
持続可能性の意味を3つの観点から考察した.一つは,持続可能とするwell-beingの定義であり,本稿では階層的なwell-beingの考え方を示した.ついで,厚生経済学の効率性ならびに公平性の実現のための社会厚生関数構築に向けて多様な情報を積極的に利用するという観点から多基準分析の可能性を示唆した.さらに,well-beingは3層から成るが,まずは生存を確保した上での持続可能性を考えるべきとの立場から,バングラデシュと鴨川上流地域での生存可能性のための社会環境改善の方向性を多基準分析により考察し,持続可能性への道筋を示すという点に関して多基準分析の可能性を示した.最後に,階層的well-beingに対応した多基準分析として階層最適化モデルの考え方の適用可能性について考察した.
3. 3月にフランスにおいてライン川,セーヌ川,ローヌ川,ソーヌ川の流域環境調査を行った.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

階層的厚生およびその評価モデルとしての階層的多基準分析の有効性についてまとめた論文は掲載が決定されている.
ライン川,セーヌ川,ローヌ川,ソーヌ川の流域環境調査の調査結果については平成26年度にフランスの流域マネジメントに関する政策のレヴューを加えてまとめることにしている.

今後の研究の推進方策

平成26年度は本研究の最終年度である.したがって,生活者の多様な厚生とコンフリクトを考慮した流域水環境マネジメントの構築に関する研究の総括として以下の研究を行う.
1.生活者の脆弱性に関する考察(萩原が担当し,朝日,木村が協力する):25年度に考察した生活者の階層的厚生の構造から脆弱性の課題が見出された.したがって,26年度は,脆弱性の定義,実際をより具体的に考察する.具体的な地域として,国内では京都市内鴨川上流地区,海外ではバングラデシュを対象として,脆弱性の実際,脆弱性への対応について検討を進める.
2.流域水環境マネジメントの構築(萩原が担当し,堀江,水上が協力する):流域水環境マネジメントの実際としてすでに策定されている河川整備計画や水マスタープランを参考に考察する.
3.研究の総括(萩原が担当し,全員が協力する):上記の研究より,生活者の多様な厚生とコンフリクトを考慮した流域水環境マネジメントの構築に関する研究をまとめる.

次年度の研究費の使用計画

フランスでの河川調査が年度末3月となり,その最終的な支出額が確定しなかったため次年度に繰り越しとなった.フランスでの調査額が確定すれば本年度(26年度)早々に支出されることとなるため実質的な繰越額は上記のB-Aよりは少なくなるはずである.
上記による調査支出が執行されてもなお残額が生じるものと考えられる.この額については,26年度中にフランスでの現地調査で手に入れた文献の翻訳や成果報告の英文校閲費として充当することとしている.

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 持続可能性とウェルビーイング(well-being)2014

    • 著者名/発表者名
      萩原清子
    • 雑誌名

      地域学研究

      巻: 43 ページ: 307-324

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 日本における社会的企業の現状と課題2014

    • 著者名/発表者名
      木村富美子・萩原清子・堀江典子・朝日ちさと
    • 雑誌名

      地域学研究

      巻: 43 ページ: 341-356

    • 査読あり
  • [学会発表] 社会的企業の特徴と社会的課題との関連に関する考察

    • 著者名/発表者名
      木村富美子・萩原清子・堀江典子・朝日ちさと
    • 学会等名
      日本地域学会第50回(2013年)年次大会
    • 発表場所
      徳島大学
  • [学会発表] 不確実性下の選択を考慮した脆弱性改善の便益評価に関する考察

    • 著者名/発表者名
      朝日ちさと・萩原清子
    • 学会等名
      日本地域学会第50回(2013年)年次大会
    • 発表場所
      徳島大学
  • [学会発表] 都市の緑における公共の財・サービスの供給に関する一考察

    • 著者名/発表者名
      堀江典子・萩原清子・木村富美子・朝日ちさと
    • 学会等名
      日本地域学会第50回(2013年)年次大会
    • 発表場所
      徳島大学
  • [学会発表] 生活者から見た流域環境マネジメントに関する一考察

    • 著者名/発表者名
      井田喜宣・萩原清子
    • 学会等名
      日本地域学会第50回(2013年)年次大会
    • 発表場所
      徳島大学
  • [図書] 環境の意思決定支援の基礎理論2013

    • 著者名/発表者名
      萩原清子編著・木村富美子・堀江典子・朝日ちさと共著
    • 総ページ数
      282
    • 出版者
      勁草書房

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公開日: 2015-05-28  

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