研究課題
二次的DNA損傷によって活性化するDNA損傷応答反応の意義を明らかにするために、活性化するPIKKファミリーの特異的阻害剤を処理した時の影響について検討した。G0期に同調したヒト細胞に、ATM阻害剤もしくはDNA-PK阻害剤を処理し、DSB関連因子の紫外線照射部位への集積について調べた。その結果、DSBのセンサーであるMRE11の集積は、DNA-PK阻害剤ではほとんど影響を受けなかったが、ATM阻害剤の添加により顕著に抑制された。したがって、ATMのキナーゼ活性はMRE11のDNA損傷部位への集積あるいは保持に重要であり、またその欠損がA-T患者由来細胞のG0期における紫外線感受性の増感原因の一つとして考えられた。昨年度までに、マウスから単離した休止期もしくは休止期様の細胞を用いてNER依存的な反応が生じるか検討を行なってきた。本年度は、NERの生体内における機能として重要な皮膚における反応に注目し、分化誘導を行なったケラチノサイト、そしてマウス個体にUV-Bを照射した時の反応について検討を行なった。塩化カルシウムの添加により分化誘導を行なった正常ヒト由来のケラチノサイトに紫外線を照射すると、H2AXのリン酸化が観察され、またその反応はNERの阻害剤を添加することにより抑制された。NER能が正常なマウスにUV-B紫外線を照射した後に組織切片を作成し、蛍光免疫染色により解析したところ、基底層部分の細胞にH2AXのリン酸化が観察された。またそのリン酸化は、増殖性の指標であるKi-67抗原の染色性に関わらず観察されたことから、皮膚においてもS期に依存した反応と非依存的な反応が存在すると考えられた。今後、NER能を完全に欠損したXPAノックアウトマウスを用いて同様な実験を行い、NER依存性について検討する必要がある。
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http://www.p.kanazawa-u.ac.jp/~iden/