研究課題
発達期の脳は成人脳に比べて放射線に対する感受性が高く、この時期の放射線被曝は先天奇形や、精神発達遅延、認知機能障害などの発症と密接に関連する。この分子機構を解明するため、マウスなどの動物モデルを用いて多面的な研究が実施されてきた。これらの研究に加えて、多数の検体の放射線曝露が容易で、脳の形態イメージングや、学習や不安などの機能を簡便に解析できるモデル動物を用いることは、様々な曝露条件における放射線影響評価を可能にし、放射線リスクの科学的基盤の深化に貢献しうる重要な研究課題である。本研究ではこのようなモデル動物としてセブラフィッシュを選択し、発達神経毒性を指標とした放射線影響評価を実施する。平成25年度は、放射線による発達神経毒性の評価項目として、行動障害と聴覚障害を選択し、それぞれの障害を定量的に解析する手法の開発を行った。さらに、放射線障害において重要な役割を担っているTP53のノックアウトゼブラフィッシュの作製を行った。今後、これらの評価系やノックアウトゼブラフィッシュを用いて放射線の発達神経毒性の分子機構を解析し、放射線影響を低減しうる薬物のスクリーニングを実施する。
2: おおむね順調に進展している
様々な発達神経毒性評価系の開発に成功しており、研究は順調に進展している。
TP53ノックアウトゼブラフィッシュを大量に作製することにより、放射線による発達神経毒性の分子機構をより詳細に解析する。
すべて 2013 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)
ACS Chem Neurosci.
巻: 4 ページ: 1183-1193
10.1021/cn400010t.