研究課題/領域番号 |
24510076
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 独立行政法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
田中 敦 独立行政法人国立環境研究所, 環境計測研究センター, 主任研究員 (80171734)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 放射性セシウム / 霞ヶ浦 / 底質 / マッピング |
研究概要 |
福島第一原発事故由来の放射性セシウムによって,一部の集水域が高線量を示す霞ヶ浦を対象湖沼とし,流入河川及び湖沼底質等を利用して,放射性セシウムの分布と蓄積特性を明らかにすることを目的としている. 霞ヶ浦において,調査船を傭船して湖内全域にわたり1分メッシュ交点で約80点の採泥を行った.砂質泥はエクマンバージサンプラで,その他は大口径の不かく乱コア試料を採取した.これら底質試料の放射性セシウムの放射能濃度と底質のかさ密度,含水率等から,各測点の放射性セシウムの現存量を求め,マップ化した.また,霞ヶ浦には多数の流入河川があり,平水時に主要流入河川の河口部及び中流部で一斉に採水及び採泥を行った.溶存態,粒子態の放射性セシウムを定量し,平水時の負荷パターンを把握した.経時的な濁質の変化を連続的にモニターするために濁度ロガーを設置して観測している.出水時調査により,高負荷時の実測値を得つつある.これらの結果から,高線量地域の底泥及び河川懸濁態の放射性セシウム濃度は高いものの,流量の大きな大河川が大きな負荷源であることが示された.湖底では西側湖盆の堆積量が大きく,河口域には局地的に放射性セシウムが蓄積していた.湖底中の放射性セシウム現存量は,航空機モニタリングによる地表面の分布とほぼ連続した分布を示していた. 霞ヶ浦湖心部,高浜入,土浦入の3点で2011年4月から開始した月例観測を継続し,湖内での放射性セシウムの経時的な変化を得た.事故直後の負荷が大きく,その後,堆積物中の鉛直混合により,表層からより深層部へ放射性セシウムが侵入しつつ,全体としては経時的な蓄積傾向があることが示された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の放射性物質マッピング及び流入負荷については予定どおり調査解析を行ったため.
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今後の研究の推進方策 |
初年度に実施した観測を継続し,放射性セシウムの平面分布の経時変化と負荷量の数値化を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
初年度にひきつづき,湖沼調査を実施する.
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