研究課題
妊娠中(妊娠12日齢から出生日前日まで)にフルタミド処理を受けた雄ラットを、生後10日齢で去勢し、20日齢から60日齢までプロピオン酸テストステロン(TP, 50μg/100g体重)あるいは芳香酸エストラジオール(EB,1μg/100g体重)の隔日投与を行った。採材時に精巣、付属生殖腺、生殖輸管系の肉眼および連続切片による組織学的観察を行い、結果は次に示すとおりである。去勢フルタミド処理群の外部生殖器は、正常雌ラットと非常に類似しており、生殖突起は陰核に近く、膣様の開口部が認められた。亀頭形成は極めて弱く、包皮分離も不完全であったが、尿道下裂は生じていなかったTP投与により外部生殖器は明確なペニス構造となり、尿道は亀頭部で下裂し、基部に向かって包皮の上皮と融合して管状を呈した。EB投与は、外部生殖器の構造に著しい影響を持たず、陰核様構造のままであった。膣様嚢胞上皮の増殖・角質化が誘導された。非去勢フルタミド処理群へのEB投与は、外部生殖器の雌化を誘導した。亀頭形成や包皮分離を阻害し、尿道下裂の発生を抑制した。膣様嚢胞の上皮は増殖・角質化を示した。フルタミド処理群への去勢は、精嚢腺、前立腺上皮の退縮を起こした。この退縮は、TP投与により回復した。精子の排出経路は断続的で、輸精管は尿道と精尿管を形成していなかった。輸精管は前立腺と融合後、最終的に著精嚢と導管を形成した。この導管は陰茎近くまで下降して、膣様嚢胞と融合するか、その付近で開口することなく消失した。これらの結果は、妊娠中のフルタミド処理は尿道ならびに外部生殖器の雌性化を誘導し、出生以降に精巣から分泌される雄性ホルモンにより外部生殖器が雄化し、尿道下裂が生じることを示しており、尿道下裂発生に雄性ホルモンが重要な役割を持つことが明らかにしている。
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