研究課題/領域番号 |
24510095
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
勝又 英之 三重大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10335143)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 光触媒 / 酸化タングステン / 薄膜 / 環境材料 / 可視光応答 |
研究概要 |
光触媒分野ですでに実用化に応用されている酸化チタンは、紫外光にのみその触媒活性が発現する。そのため光触媒の応用範囲を拡大するためには、可視光に対する活性の向上が必要不可欠である。これまで研究代表者らは、可視光応答光触媒の一つである酸化タングステンに着目し、適切な助触媒を担持することで、可視光に対する触媒活性が劇的に向上することを明らかにしてきた。そこで本研究では、実用化レベルの可視光応答感度を有する酸化タングステン光触媒の設計を目指し、粒子状光触媒では達成し難い逆反応が抑制できナノ領域で反応サイト選択性を有する酸化タングステンナノチューブの開発を目的とした。今年度は、コアシェル型助触媒を酸化タングステンナノチューブの外壁または内壁に選択的に担持させることを検討した。銀及び酸化銅を段階的に酸化タングステンナノ粒子に担持した。調製した試料を透過型電子顕微鏡で観察を行った。その結果、銀をコア、酸化銅をシェルとしたコアシェル型助触媒が酸化タングステンナノ粒子に均一に担持されていることが明らかとなった。次に、酸化タングステンナノチューブを合成し、コアシェル助触媒の位置選択的担持を試みた。しかし、電子顕微鏡観察結果から、内壁または外壁への選択的担持はされていなかった。さらに、その光触媒活性も位置選択的に担持されていない酸化タングステンナノチューブより劣っていた。そこで、ナノ構造を制御した酸化タングステン薄膜の合成を検討した。酸化タングステン薄膜は、水熱合成法にて行い、各試薬の添加量、反応温度、反応時間を詳細に検討し、走査型電子顕微鏡でその構造を観察した。その結果、ナノロッド状の酸化タングステンが基板から垂直に成長していることが明らかとなった。次年度、このナノロッド薄膜へ助触媒の位置選択的担持を検討していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的である位置選択的助触媒担持酸化タングステンナノチューブの開発については、進展が遅れていると判断せざるを得ない。しかし、酸化タングステンナノロッド薄膜が一段階で合成できる可能性を見出せたことは、本研究を遂行する上で極めて重要な知見である。以上の理由から、概ね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
本年度得られた酸化タングステンナノロッド薄膜への助触媒の位置選択的担持を検討すると共に、詳細な形態および光学的特徴を明らかにする。また本光触媒の活性を明らかにし、実用的な光触媒の創製を目指す。さらに、本薄膜に対するより高活性な助触媒の探索も検討していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初予定した位置選択的助触媒担持酸化タングステンナノチューブの開発が遅れたため当該助成金が生じた。次年度は、本薄膜の光触媒活性を評価するためキセノンランプ光源を導入し、その他、消耗品、旅費等に充てる予定である。
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