研究課題/領域番号 |
24510096
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
金子 聡 三重大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70281079)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 炭酸ガス還元 / 電気化学的還元 / 地球温暖化 / ナノチューブ |
研究概要 |
メタノール溶媒にCO2を吸収させ、銅電極を用いて高い電流効率でメタンやエチレンを生成させることが可能となりつつあるため、将来実用化できる可能性が大きいが、システムの実用化を鑑みると、エチレンやエタンなどの高次な炭化水素類をより高効率で得ることが必要である。これまでのシステムでは金属電極を用いて還元を行ってきたため、今後はCO2還元のための電極設計及び電極開発が、国内外のプラントメーカー・電力会社から求められてきている。したがって、CO2還元ための実用的な電気化学的還元セルの開発が必要である。 本研究では、金属又は半導体ナノチューブ膜を利用した高効率CO2還元セルの作製をめざし、以下のセル設計のポイントを検討した。1)金属ナノチューブ電極の作製、2)p型半導体ナノチューブ電極の作製。金属ナノチューブ電極の作製方法として、様々な手法が提案されているが、簡便性と再現性を考慮して、研究代表者が開発した陽極酸化法による金属ナノチューブ作製法を詳細に検討した。 本年度は、ベースとなる酸化チタンナノチューブの作製を行った。チタン板をフッ酸イオン存在中において水溶液中で陽極酸化を行うと、印加電圧、印加時間、電流値、水溶液の組成などを精密に最適化することにより、チタン板上に酸化チタンナノチューブが生成する。まず、陽極酸化条件を検討し、ナノチューブの直径、長さを制御できる条件を見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の成果の可否は、再現性の優れた炭酸ガス還元用ナノチューブ電極を作製し、還元セルを構築できるかどうかがポイントになる。したがって、初年度はナノチューブの作成技術に力点を置き、ナノチューブの作製法を精密に制御する方法を開発し、さらに、その作製したナノチューブ電極を用いた還元セルの基礎的データを取得することが目的であったため、概ねそのデータを取得できたた、順調に進展していると考えられた。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度では、金属ナノチューブを利用した還元セルによるメタノール溶媒中のCO2の電気化学的還元におけて、基礎的なデータ及び還元特性を取得したので、平成25年度以降では、酸化チタンナノチューブ及びアルミナナノチューブをベースとして、簡易型CVD装置により金属ナノチューブを作製し、その還元特性を詳細に検討する。 平成24年度は、イオンコーターにより金属を被覆して金属ナノチューブを作製して還元特性を評価したが、平成25年度では簡易型CVD装置により化学蒸着し、金属ナノチューブを作製する。メタノール溶媒中のCO2の電気化学的還元を行い、電流効率のさらなる向上を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度では、当初、金属ナノチューブや半導体ナノチューブの母材(基質)となる酸化チタンナノチューブやアルミナナノチューブを作成するために、設備備品として精密電流制御型のポテンショスタット・ガルバノスタットが必要であったが、三重大学の予算で購入することができたため、ポテンショスタット・ガルバノスタットを購入する必要は無くなった。 平成25年度では、ナノチューブ母材上に金属をコーティングする、又はコーティングした金属を酸化物にするなどして、金属ナノチューブやp型半導体ナノチューブを作製するために、設備備品として簡易型のChemical Vapor Deposition (CVD)装置が必要であるが、こちらも三重大学の予算で購入することができそうなため、さらに、平成26年度に繰り越し、本研究に有効な分析装置(原子吸光分析装置)を購入する予定である。
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