環境問題の一つにマスコミ等で報道されて周知の通り、炭酸ガスによる地球温暖化問題がある。大気中の炭酸ガスの濃度の増加は、産業水準及び人類の生活水準が向上するにつれて年々増加し、今や400ppmにもなり、2060年には今の倍になると言われている。 一方、燃料電池技術の急速な発展に伴い、超長期的には水素をエネルギー源とした水素社会が構築されると考えられている。水素ガスの供給源として、最終的には水から水素を取り出すことが想定されている。しかしながら、水から水素を取り出す技術の確立には、まだかなりの時間を要することが予想され、中長期的には化石燃料などから、水素を生成することになると思われる。しかし、副生成物として炭酸ガスや一酸化炭素が発生するため、その処理技術の確立のためにも、炭酸ガスの変換・除去技術の開発は、大変重要な意味を持ってきている。 このような状況の中で、電気化学及び光電気化学法による炭酸ガスの還元技術は将来発展が期待されている最重要技術の一つとして結論づけられている。炭酸ガス還元のための電極設計及び電極開発が、国内外のプラントメーカー・電力会社から求められてきている。本研究では、半導体ナノチューブ膜を電気化学的還元セルに組み入れ、炭酸ガスの新規反応セルを構築し、炭酸ガスの光電気化学的還元データを取得することを目的とした。本実験では、酸化チタンナノチューブ電極を利用した炭酸ガスの電気化学的還元セルの高度化を図った。
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