セルロース系バイオマスは地球上で最も多く発生する生物系廃棄物であるが、普及を期待できるような資源化法が見出されていない。申請者はこれまで、セルロース糖化に利用可能な微生物を本州、北海道、沖縄で探索し、セルロースのみならず、ヘミセルロースやリグニンにも分解能も併せ持つ微生物を分離した。そこで本課題では、これらの分解微生物と油脂生産酵母、炭化水素生産微細藻類、およびPHA 生産細菌(以下、燃料微生物と呼称)を併用し、セルロース系バイオマスからバイオ燃料を生産する“Waste-to-Energy”プロセスを開発する。 本年度は、CB糖化に応用が期待される、培養困難種のセルラーゼ遺伝子を探索を目標に研究を行った。具体的には、粉末セルロースやオガクズ粉末をすきこんだ土壌を2ヶ月間静置し、土壌に棲息しているセルロース分解微生物(実験室での培養可否に関わらず)の増殖を促した。次に、この馴化土壌から微生物DNAを一括抽出した。また、このための最適培養条件についても検討した。その結果、DGGE解析パターンから多様な細菌・糸状菌が含まれるDNAを抽出することに成功した。さらにセルラーゼのアミノ酸配列保存領域に基づき設計されたプライマーを用いてPCRを行ったところ、多数の増幅断片が検出され、様々な微生物に由来するセルラーゼ遺伝子がDNA試料に含まれることがわかった。
|