研究課題/領域番号 |
24510105
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研究機関 | 工学院大学 |
研究代表者 |
小林 潤 工学院大学, 工学部, 准教授 (60314035)
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キーワード | 廃棄物資源化 / 高周波誘導加熱 / ファンネルガラス / 鉛 |
研究概要 |
本年度における研究計画に則り、各種炭素材料およびCRTガラス(ファンネルガラス)混合物の高周波誘導加熱による還元反応挙動について実験的検討を行った。なお、前年度の研究実績を勘案し、高周波源にはマイクロ波のみを用いることとした。 前年度実施した各種炭素材料の加熱特性を考慮し、発熱性に優れた炭素材料を用いて実際にファンネルガラスの熔融還元を行った。化学量論的にはファンネルガラスの百分の一程度の質量の炭素でファンネルガラスに含まれる鉛ガラスを十分還元することが可能であるが、炭素自体の発熱を利用することを勘案し、質量はその5倍から20倍程度とした。ファンネルガラス・炭素混合試料をマイクロ波加熱したところ、炭素の発光と見られる現象が確認され、加熱後の試料は熔融固化していることが明らかとなった。このことから、ファンネルガラスのガラス転移温度と考えられる970℃を超える温度まで上昇していることが示唆された。また、加熱後の試料重量は若干減少しており、重量減少分が全て酸化鉛の還元反応に基づくものと仮定すると、酸化鉛除去率は概ね10%程度となることが明らかとなった。一方、加熱後の試料を強酸で溶解させICP分析を行った結果では酸化鉛の除去率は50%程度の値を示しており、実際に鉛成分が取り除かれていることが明らかとなったが、結果の相違については今後さらに検討する必要がある。さらに、炭素・ファンネルガラス混合比を一定として総質量を変化させて同様の加熱実験を行った結果、重量減少量は総質量と比例関係を持たずほぼ一定に推移することが確認された。この点については、マイクロ波加熱の許容量とも関連するため、さらに詳細な検討を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
炭素材料の種類,炭素・ファンネルガラス混合比などを変化させて実験を行った結果、炭素材料の種類によって反応特性が大きく異なること、当該実験範囲では化学量論比以上の炭素を用いた場合反応後の重量減少に大きな変化が見られないことが明らかとなった。今後のスケールアップを考慮し全試料重量を変化させた実験も行ったが、ある一定量以上反応させると重量減少量が増加せず一定となることが明らかとなった。また、反応後の試料を強酸で溶解させICP分析を行った結果、およそ50%の酸化鉛が除去されていることが明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
マイクロ波を用いた誘導加熱により、ファンネルガラス・炭素混合物の高温加熱が可能であること、重量減少が確認されたことおよび酸化鉛が除去されることを確認しているが、各種条件が結果に及ぼす影響については明確にされていないので、この点について条件の最適化を考慮した検討を行う。また、伝熱挙動についても十分な検討が行われていないので、放熱挙動や熱収支についても十分な検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
購入希望物品と残金が一致せず、別予算により購入したため残金として計上した。 物品費として利用する予定である。
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