研究概要 |
平成24年度は、当初の計画通り、シリコンドープ量0, 10, 20, 30, 40%のシリコンドープハイドロキシアパタイト(SiHA)の作製を行い、その表面積及び各種イオン吸着量(ストロンチウム、鉄)の測定を行った。また、同時に合成ゼオライト(ZSM-5)を用いて、セシウム吸着量及び鉄イオンによるセシウム吸着抑制効果を評価した。 その結果、シリコンドープによるHAの表面積は、シリコンドープ量0%では110m2/gであったのに対し、シリコンドープを行ったSiHA(10~40%)では、160~180m2/gと増加した。しかし、シリコンドープ量と表面積に相関は認められなかった。次に、各種SiHAのストロンチウム溶液中(0.001N)での吸着率は、シリコンドープ0%で73%、SiHAでは65~68%にとどまり、表面積増大によるストロンチウム吸着率の増加は認められなかった。また、鉄溶液中(0.01N)での各種サンプルの吸着率は、全て100%となり、鉄に対するHAの吸着性はシリコンドープの有無に関わらず、高いことが確認された。 ゼオライトのセシウム吸着においては、鉄イオン存在下での影響を評価したところ、純水中ではセシウムの吸着率が84%であったのに対し、0.01Nの鉄存在下では41%と約半分の吸着率に低下することが確認された。次に、各種SiHAとゼオライトを混合し、鉄存在下でセシウム吸着率を測定したところ、吸着率は76~83%まで回復することが明らかとなった。SiHA単体のセシウム吸着率は1~7%と非常に低いことから、単にSiHAのセシウム吸着率が加算されたのではなく、SiHAが鉄イオンを除去することで、ゼオライトのセシウムに対する吸着能が回復したと考えられる。
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