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2012 年度 実施状況報告書

新規生分解性バイオポリエステル設計のための関連酵素の構造―機能研究

研究課題

研究課題/領域番号 24510114
研究種目

基盤研究(C)

研究機関独立行政法人理化学研究所

研究代表者

久野 玉雄  独立行政法人理化学研究所, 城生体金属科学研究室, 専任研究員 (20312267)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード環境調和型材料 / 生分解性 / バイオポリエステル / 微生物酵素 / 構造と機能
研究概要

ポリアスパラギン酸は生分解性を持つ非天然の水溶性高分子で、非生分解性の水溶性高分子であるポリアクリル酸の代替物質として注目されている。Pedobacter sp. KP-2由来のポリアスパラギン酸分解酵素はポリアスパラギン酸のβ-β結合を加水分解して、アスパラギン酸オリゴマーを生成する酵素である。ポリアスパラギン酸分解酵素とβ-βアミド結合をもつ高分子基質との相互作用様式を解明するために、本酵素のX線結晶構造解析を行った。
本酵素の大腸菌組換え体の精製試料を用いて蒸気拡散法による結晶化を行い、六方晶系に属する結晶を得た。大型放射光施設SPring-8において回折データを収集し、結晶化条件に含まれるコバルトの異常分散効果を考慮した単波長異常分散法により構造解析を行った。
本酵素はアミノ酸残基265個からなる単量体酵素である。結晶化条件にコバルト塩を加えることにより結晶性の向上が見られ、構造解析に大きく寄与した。得られた結晶構造は、8本のβストランドからなるβシートと8本のαヘリックスをもち、α/β hydrolase foldの特徴を持っていた。求核残基であるSer125は5番目のβストランドと4番目のαヘリックスの間のnucleophilic elbowと呼ばれるターンに配置され、Asp193、His245とともに触媒部位を形成していた。結晶化母液由来のコバルトイオンが酵素分子表面に1酵素分子当たり3個結合していた。その中の1つは酵素のHis245のイミダゾール環窒素と配位結合し、さらに結晶中の隣接する酵素分子のAsp213の側鎖のカルボキシル基と静電相互作用していた。この相互作用によって結晶パッキングが影響を受け、結晶性が向上したと考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ポリアスパラギン酸とポリヒドロキシアルカン酸は電荷の有無の違いはあるが、主鎖構造が似ており、それぞれに特異的に働く酵素の基質高分子との相互作用様式、とくに基質高分子の主鎖構造に対する相互作用の相違点を比較検討することは、これらの酵素の基質特異性を理解する上で重要なことだと考えられる。今年度はポリアスパラギン酸分解酵素の結晶構造を高分解能で明らかにしたが、今後、基質複合体の構造解析を行うことにより、すでに構造が明らかになっているポリヒドロキシアルカン酸分解酵素との比較が可能となり、基質特異性の理解について重要な知見が得られると思われる。

今後の研究の推進方策

ポリアスパラギン酸分解酵素の基質複合体結晶を調製し、構造解析を行う。基質はβ-アスパラギン酸3量体あるいは4量体などのオリゴマーを用いる。酵素は分解活性を持たない変異体を用いる。マルチドメイン構造を持つポリヒドロキシアルカン酸分解酵素の基質複合体結晶を調製し、構造解析を行う。基質はβ-3-ヒドロキシブタン酸3量体または4量体などのオリゴマーを用いる。酵素は活性を持たない変異体を用いる。ポリヒドロキシアルカン酸合成酵素の精製および結晶化、および長鎖特異的モノマー供給酵素R-ヒドラターゼの基質複合体結晶の調製を行う。

次年度の研究費の使用計画

酵素サンプルの大腸菌を用いた大量発現に必要な試薬類の購入、酵素の精製に必要なカラムなどの消耗品、試薬類の購入、結晶化に必要な試薬、プレート類、結晶化装置関連品の購入、データ測定に必要なクライオループ類の購入、構造解析に必要な計算機関係物品の購入。今年度においては酵素サンプルの精製、結晶化が比較的スムーズに進んだため、発現精製関係のものの購入量が少なくてすんだが、来年度は、発現、精製、結晶化が困難な酵素サンプルについて精力的に条件検討する予定である。

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公開日: 2014-07-24  

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