研究課題/領域番号 |
24510115
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
日比野 俊行 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境管理技術研究部門, 主任研究員 (70357846)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 層状複水酸化物 / ハイドロタルサイト / ハイブリッドゲル / ナノコンポジットゲル / イオン交換 / 吸着 |
研究概要 |
剥離させた層状複水酸化物(LDH)をナノプレート状態でマトリックスに分散・固定するため、LDHコロイドを高分子ヒドロゲルであるアガロースゲルと液状物状態を経由して複合し、ハイブリッドゲルを作製した。ハイブリッドゲルは、初期においては、最短辺が10mm以下になるように切断していたが、専用の治具を作製してからは、各辺が約3mmの立方体になるように切断してから用いた。 ハイブリッドゲルでの陰イオン吸着量は、粉体のLDHと同様、24h以内には、ほぼ平衡に達して一定値となった。この結果より、吸着検討は24hを目安にして検討することとした。まず、5mMのNa2SO4溶液に硝酸を加えて、初期pHを2から6の間で調整し、Mg-Al系LDHとZn-Al系LDHを用いたハイブリッドゲルで耐酸性を検討した。バッチ式での吸着実験においては、LDHのバッファー効果によってpHが上昇する。より高いpHで溶解するMg-Al系LDHのハイブリッドゲルにおいても適当な条件では、多少の酸が加わっても十分に吸着を示すことが分かった。陰イオン間の相違の検討では、ハイブリッドゲルにおいてもイオン間の吸着のしやすさは粉体の場合と同じであった。さらに、Mg-Al系LDHでのハイブリッドゲルにおいて、LDH含有量を変化させて、吸着性能を検討した。LDH含有量が低いと吸着量能力が低かったが、乾燥状態の重量比でLDHとアガロースが1:1前後では、粉体のLDHとLDH換算では、ほぼ同等な吸着能を示すようになることが分かった。以上より、粉体との比較において著しい吸着能力向上はみられていないが、高分子ゲルは成形やハンドリング等において興味深く、バインダーとしての特性は良好であるこが分かったので、バインダーとしての観点からの検討を中心に進めていくこととした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ハイブリッドゲルの吸着特性について、当初の計画において必要な検討は完了した。すなわち、モデル的な陰イオンおよびイオン径の大きな陰イオンであるヨウ化物イオンを用いて、粉体のLDHとハイブリッドゲルにおける吸着性能を比較検討し、かつ、ハイブリッドゲルにおけるLDH含有量を変化させての検討で、ハイブリッドゲルの吸着剤としての特性を把握することができた。また、Mg-Al系LDHとZn-Al系LDHを用いたハイブリッドゲルでの検討も計画通り行い、一定の成果を得た。以上の通り、当初の計画に沿って順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、高分子ゲルをバインダーとして利用する観点から、当初予定の(1)吸着剤としての繰返し使用の検討と(2)層状複水酸化物-高分子ゲル複合体であるハイブリッドトゲル乾燥物の水での膨潤再生の検討を行う。(1)については、ハイブリッドゲルにおける陰イオン吸着発現は層状複水酸化物(LDH)であるので、吸着剤としての再生検討を粉体状態でのLDHでの検討を中心に行い、ハイブリッドゲルに適応できる技術の開発を図る。(2)は、乳酸LDHを用いたハイブリッドゲルまたはそれに準じた複合材で、乾燥状態からの水での膨潤再生を評価する。 平成26年度は、これも当初の予定にあった(3)乾燥させたナノコンポジットゲルの徐放性の検討と(4)ハイブリッドゲルの機械的強度向上の検討を行う。(3)では、(2)と同様に、乳酸LDHを用いたハイブリッドゲルまたはそれに準じた複合材で、徐放性の検討を行う。(4)では、アガロース以外の高分子若しくは多孔体について、アガロースとの混合利用などを検討する。また、(3)についても(4)に用いたアガロース以外の高分子の適用を場合によっては行う。
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の繰越額は2,230円と少額であり、平成25年度研究費の補助として平成25年度内に使用する。
|