H25年度成果; 光結晶加速器では格子定数を光の波長の80%にしただけで加速電界は10%に低下するので格子定数に傾斜をもたせて非相対論的エネルギーの電子を加速することは得策ではないことが分かった。格子定数を一定(レーザー波長に等しい)にした構造の場合の非相対論的エネルギーの電子に対する加速電界計算を行い、20keVと50keVの電子に対する加速電界はそれぞれ相対論的電子に対する場合の80%と13%が可能でることを明らかにした。加速電界は電子のエネルギーに対して周期的に変化し、加速菅内部でのレーザー電界の空間分布の高調波成分に起因することが分かった。誘電体の光学破壊と非線形光学効果の影響を加味したレーザー照射強度 (2GV/mの電界)の場合には、20keV、50keVと相対論的電子に対する加速電界はそれぞれ、48MV/m、78MV/m、600MV/mになる。レーザーパルスを電子の動きに合わせて動かすことにより必要なレーザーのエネルギーが少なくて済むことと上記の値を使うと、20keVの電子を1MeVに加速するためには、ピーク出力が20MWで幅が5psの10対の連続レーザーパルスで可能であることを明らかにした。そのときの加速菅の長さは4mmであり、バンチあたりの電荷量は約0.03fCと少ないが、ビームの大きさはサブミクロンであり、電荷密度は通常の加速器と同程度である。 全期間成果; 光結晶加速器の設計に必要な基本的パラメータ(寸法、レーザ仕様など)を明らかにした。加速電界分布の測定と電子加速予備実験のために、4種類の格子定数を持つテストピースの試作を行った。また、東京大に設置してあった12TWレーザーを本課題の他の研究でも使用するために、KEKに移設して機器の整備を行い、集光可能にした。 これらの成果は、論文誌3件、国内外の学会で5件の発表を行った(国際3件、国内2件)で発表した。
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