研究課題
NTTアドバンステクノロジ株式会社でX線円形多層膜ゾーンプレートの作製を行った。最外線幅が25 nmの円形多層膜ゾーンプレートを作製した。主な作業内容は、以下の通りである。Coupled Wave Theoryに基づく光学特性のプログラムを用いて、円形多層膜ゾーンプレートの最外線幅、光軸方向厚さを決定した。次に、直径約2 mmのガラス棒に1時間MoSi2とSiを各々成膜し、段差計を用いて成膜量を測定し、成膜レートを算出した。スパッタリング装置に成膜プログラムを転送し、寸法測定器で予め直径を測定しておいたガラス芯線にMoSi2/Si多層膜を成膜した。多層膜積層後、補強のため6時間程度MoSi2を積層させた。次に多層膜を積層したガラス芯線の包埋作業を行った。ガラス芯線を粘土で固定し、直径1 cmのアルミ筒をかぶせ、樹脂を流し込んだ。8時間放置することで樹脂が硬化し、ガラス芯線が固定される。包埋したガラス芯線を精密切断器で1 mmに切断し、研磨機で目的の厚さまで研磨を行った。研磨の具体的な作業内容は以下の通りである。複数の包埋したガラス芯線を1度に研磨を行うので、全てのサンプルの厚さを整える面出しを行い、砥粒の大きさを、段階を踏んで小さくしていき、目的の厚さまで研磨を行った。最後に薄片化したものに補強を行うことで、円形多層膜ゾーンプレートが完成する。SPring-8の兵庫県IDビームライン(BL24XU)にて集光性能評価実験を行った。集光ビームの線像分布関数(LSF)を測定した。LSF には振動構造が観察されており、この振動構造は焦点の理論集光パターンに生じるサイドピークに起因すると考えられる。レーリーの定義より主極大周りの第一極小間の距離の半値を集光ビームサイズと定義すると、得られた値は24.2 nmであった。開口形状(輪帯開口:開口比=0.84)を考慮した理論集光サイズは21.1 nmであり、回折限界に近い集光が達成できていることが確認された。回折効率は24%が得られた。
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