本研究ではフェムト秒レーザによる内部加工及び穿孔加工を利用することによって通信用光ファイバに対してセンシング機能を埋め込 むことを目的としている。内部に造り込む空孔配列とセンサ感度の関係を明らかにする。また、穿孔加工によるセンサでは、穿孔の配 列及び蒸着する金属薄膜の条件がセンサの性能に与える影響について明らかにする。 【空孔配列タイプ】シングルモード光ファイバ(コア径:9μm)に対してフェムト秒レーザー内部空孔加工をおこない 、空孔による散乱光損失を制御し、光ファイバの屈曲方向を検知できる機能を初めて実現し目的を達成した。空孔化領域の空孔の配列方法(挿入長、挿入損失、空孔の配列間隔、空孔の埋め込み深さ等)を調整することによって、屈曲時のセンサ感度(dB/mm)や感度特性を調節できることが確認された。また有限要素法FEMをを用いた数値解析によって、理論モデルを構築し、実験結果に非常に近い解析モデルの条件を明らかにすることができた。イラン工科大学のモハメッド教授との共同研究により、空孔生成過程モデルを構築した【穿孔加工タイプ】フェムト秒レーザーによる穿孔加工によって、マルチモード光ファイバ(コア径:62.5μm)のコアに到達する微小な穴配列を作製し、内部に金属薄膜を形成しすることにより、穴先端の金属薄膜がコア内部の伝搬光と相互 作用するようなセンサ部を作製した。これまでに、短波長側(450nm付近)でプラズモンを励起共鳴波長のようなSPRカーブを確認したが、相互作用長が不足し、明確なセンシング機能として明らかにできなかった。しかしながら、穿孔加工を貫通加工へと進展させ微小貫通穴に微小容量(ピコリッター)の試料を導入し、分光機能を作りこむことができた。また、貫通穿孔内部表面に多くに金属コロイドを固定化して局在プラズモン励起を誘起するという新たな方向性を見出した。
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