研究課題/領域番号 |
24510132
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
長澤 尚胤 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (00370437)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 天然高分子 / 架橋 / 放射線加工 / 微小ゲル / 多糖類 / ポリ乳酸 |
研究概要 |
石油合成系高分子の利用・廃棄による環境破壊という負の側面に対処すべく環境に負荷を与えない天然高分子やバイオプラスチックの利用が期待されるが、汎用高分子と比較して諸物性が劣っている点がある。γ線や電子線といった量子ビームの照射による分子間で橋かけ(架橋)反応や表面グラフト重合技術を利用した微小ゲル作製並びに得られた微小ゲルのバイオプラスチックへの均一なナノ分散を行うことにより、地球環境保全のために、汎用しやすい耐熱性、機械的特性の優れた新しい生分解性ナノコンポジット材料を創製する。 本年度は、微小なゲルを作製する技術を最適化するため、カルボキシメチルセルロース水溶液に、物理架橋しない濃度の塩化ナトリウムや塩化カルシウムを添加して錯体・コロイド系に調製し、γ線を照射した。微小なゲルのサイズは、試料や添加塩の濃度や線量の変化によって200nmから5μmサイズの微小なゲルに作製することができると共に、透析膜による脱塩処理を行っても、架橋構造導入を確認できたことから、塩添加による溶液中での初期立体構造の違いとゲル形成との関係性がわかってきた。また、可塑剤等の添加したポリ乳酸の放射線架橋において、架橋効率が高くなることを見出し、分子鎖の運動性が架橋に関与していることから、ポリ乳酸と0.1%の架橋剤を含んだクロロホルム溶液を界面活性剤入りの水と懸濁した溶液にγ線を照射して微小ゲル作製技術を検討した結果、10μmサイズの微小体を作製できた。膜で分離することで、500nmから5μmサイズの微小体であることを確認でき、得られた微小体は凝集体と存在し、ゲル形成からの時間経過に伴い、凝集・沈殿する系であることがわかった。以上のことから、量子ビームを駆使して、高分子試料や添加剤の濃度、線量を変化することにより、環境にやさしい微小構造体を作製できることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
天然由来高分子である多糖類(カルボキシメチルセルロース)およびポリ乳酸の微小体を量子ビーム照射による架橋反応を利用して作製できる技術を見出した。また、作製条件としての高分子試料や添加剤(金属塩、架橋剤)の濃度、照射線量を変化させることにより、サブミクロンからミクロンサイズの微小体ができることを明らかにした。しかしながら、得られた微小体は、ゲル形成後の時間経過により凝集沈殿することから、分離する技術が必要となり膜により分離できる手がかりを得た。
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今後の研究の推進方策 |
天然由来高分子である多糖類(カルボキシメチルセルロース)およびポリ乳酸の微小体を量子ビーム照射による架橋反応を利用して作製できる技術を見出したが、得られた微小体は、ゲル形成後の時間経過により凝集沈殿することから、分離する技術が必要となった。そこで、膜により分離できる手がかりを得たが、再凝集が起こってしまうので、今後、微小体の表面改質やゲル形成後の溶液への界面活性剤添加などを行う必要であると考えられる。今後は、量子ビーム照射によるグラフト重合を利用して、微小体の表面改質方法を重点的に検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
作製した高分子微小ゲルに、グラフト重合しやすいビニル系モノマーであるスチレンを放射線グラフト重合する。膜により得られた微小体を分離する。照射線量、使用するモノマー濃度、グラフト重合時間、反応温度等を変化させ、表面改質のためのグラフト重合条件を見いだす。室温から500℃までの熱分解(TGA)測定により高分子微小ゲルとグラフト鎖の熱分解温度及び重量変化の差から表面改質高分子微小ゲルのグラフト率を見積もる。クロロホルムに溶かしたポリ乳酸溶液やヘキサフロロイソプロパノールに溶かしたポリアミド11に浸漬してキャストフィルムを作製し、表面改質高分子微小ゲルとの相溶性について透過電子顕微鏡(TEM)を用いて評価する。
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