研究課題/領域番号 |
24510139
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
中島 謙一 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10104720)
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研究分担者 |
渡 孝則 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10136541)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 高分子ミセル / コア-シェル-コロナ構造 / 卵黄-卵殻型ナノ粒子 / ゾル-ゲル反応 / シリカ / 金 |
研究概要 |
【1】金-高分子複合ミセルの合成 ポリ(スチレン-b-2-ビニルピリジン-b-エチレンオキシド)(略称:PS-b-PVP-b-PEO)を鋳型高分子として用いた。この高分子は、水溶液中で、PSをコア、PVPをシェル、PEOをコロナとする高分子ミセルを形成し、PSコアが無機中空ナノ粒子の空洞の鋳型となり、PVPシェルが無機物質形成の反応場となる。 まず、金ナノ粒子に対して、チオール基(SH)を有するポリスチレン(PS)ホモポリマーを結合した。この時、チオール基は金ナノ粒子に対するアンカーとして働く。そのPS被覆金ナノ粒子と上記のPS-b-PVP-b-PEO をDMF に溶解・分散した後、透析法によって溶媒を段階的に水に置き換えて、金ナノ粒子のまわりをPSコアが被覆し、さらにPVP シェル、PEO コロナが取り囲んだ構造の金-高分子複合ミセルを得た。得られた複合粒子は電子顕微鏡測定で特性解析を行った。 【2】金-シリカ(卵黄-卵殻)ナノ粒子の合成 前記の金-高分子複合ミセルは、酸性条件下では、PVP ブロックがプロトン化して陽イオンとなっており、静電反発によって伸張したコンフォメーションをとる。そこに、シリカ前駆体のTEOS を加えて、TEOSをミセルのPVPシェル層に取り込ませた。その後、ゾル-ゲル反応によって、PVPシェル層にシリカを形成させた。シリカ層が形成された後、約500℃で焼成して鋳型高分子を取り除き、金-シリカ(卵黄-卵殻)ナノ粒子を得た。得られた金-シリカナノ粒子を透過型電子顕微鏡で測定したところ、シリカの中に金ナノ粒子が入った粒子の数が少なく、大半は金ナノ粒子とと中空シリカが別々に存在した。今後、実験条件を種々に変えて検討を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度は、まず、合成が易しいと思われる金-シリカ(卵黄-卵殻)ナノ粒子を合成する予定であった。その後、その経験を踏まえてパラジウム-シリカ(卵黄-卵殻)ナノ粒子を合成し、触媒活性を検討する予定であった。しかし、金-シリカ(卵黄-卵殻)ナノ粒子を得ることはできたものの、その収率が悪く、予定していた実験をすべて遂行することはできていない。従って「やや遅れている」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
金-シリカ(卵黄-卵殻)ナノ粒子の収率が悪かった原因として、鋳型高分子(PS-b-PVP-b-PEO)が充分に金ナノ粒子に結合していないことが考えられる。それを改善するために、次の二つの方策を考えている。 (1)チオール基を有するポリスチレンホモポリマーを金ナノ粒子に結合した後にPS-b-PVP-b-PEOを結合するのではなく、PS-b-PVP-b-PEOのPSブロックにチオール基が結合したトリブロック共重合体を合成し、金ナノ粒子に対する鋳型高分子の結合量を上げる。 (2)鋳型高分子としてPS-b-PVP-b-PEOではなく、金に対する結合性の高いブロックを有する他のトリブロック共重合体を用いる。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は、研究の進捗がやや遅れたために、当初予定していた金-パラジウム(卵黄-卵殻)ナノ粒子の合成とそ触媒活性の検討まで進まなかった。そのために費用を繰り越して、平成25年度に使用する予定である。
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