研究課題/領域番号 |
24510139
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
中島 謙一 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10104720)
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研究分担者 |
渡 孝則 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10136541)
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キーワード | 高分子ミセル / コア-シェル-コロナ構造 / 卵黄-卵殻型ナノ粒子 / 鋳型合成 / ゾル-ゲル反応 / 銀 / シリカ |
研究概要 |
前年度は金-シリカ(卵黄-卵殻)ナノ粒子の合成を試みたので、今年度は銀-シリカ(卵黄-卵殻)ナノ粒子の合成を試みた。 【1】銀-高分子複合ミセルの合成 まず、銀ナノ粒子にチオール基(SH)を有するポリスチレン(PS)ホモポリマーを結合した。これとポリ(スチレン-b-2-ビニルピリジン-b-エチレンオキシド)(略称:PS-b-PVP-b-PEO)をDMF に溶解・分散した後、透析法によって溶媒を段階的に水に置き換えて、金ナノ粒子のまわりをPSコアが被覆し、さらにPVP シェル、PEO コロナが取り囲んだ構造の銀-高分子複合ミセルを得た。得られた複合粒子は電子顕微鏡測定で特性解析を行った。 【2】銀-シリカ(卵黄-卵殻)ナノ粒子の合成 前記の銀-高分子複合ミセルは、酸性条件下では、PVP ブロックがプロトン化して陽イオンとなっており、静電反発によって伸張したコンフォメーションをとる。そこに、シリカ前駆体のTEOS を加えて、TEOSをミセルのPVPシェル層に取り込ませた。その後、ゾル-ゲル反応によって、PVPシェル層にシリカを形成させた。シリカ層が形成された後、約500℃で焼成して鋳型高分子を取り除き、銀-シリカ(卵黄-卵殻)ナノ粒子を得た。得られた銀-シリカナノ粒子を透過型電子顕微鏡で測定したところ、シリカの中に金ナノ粒子が入った粒子の数が少なく、大半は銀ナノ粒子とと中空シリカが別々に存在した。今後、鋳型分子を別のものに替える、シリカ前駆体を替えるなど、実験条件を種々に変えて検討を行う予定である
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
銀-シリカ(卵黄-卵殻)ナノ粒子の合成を試みて、所期のナノ粒子を得ることができたが、その収率が極めて悪く、ほとんどが銀ナノ粒子が中空シリカナノ粒子の外に存在した。さらに、当初予定していたパラジウム-シリカ(卵黄-卵殻)ナノ粒子の合成にも取りかかることができなかった。したがって、やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
銀-シリカ(卵黄-卵殻)ナノ粒子の収率が悪かった原因として、鋳型高分子(PS-b-PVP-b-PEO)が充分に銀ナノ粒子に結合していないことが考えられる。それを改善するために、鋳型高分子としてPS-b-PVP-b-PEOではなく、他のトリブロック共重合体を用いることを考えている。具体的には、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ[3-(メタクリロイルアミノ)プロピルトリメチルアンモニウムクロリド](PMAPTAC)、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PNIPAM)、ポリ(N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド)(PDMAPAA)からなるテトラブロック共重合体(PEG-b-PMAPTAC-b-PNIPAM-b-PDMAPAA)を試みる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は、研究の進捗がやや遅れたために、当初予定していたパラジウム-シリカ(卵黄-卵殻)ナノ粒子の合成とそ触媒活性の検討まで進まなかった。そのために次年度使用額が生じた。 平成26年度は銀-シリカ(卵黄-卵殻)ナノ粒子の収率を上げるために、鋳型高分子の変更およびシリカ前駆体の変更を行う予定である、さらに、当初予定していたパラジウム-シリカ(卵黄-卵殻)ナノ粒子の合成にも取りかかる予定である。そのために費用を繰り越して、平成26年度に使用する予定である。
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