次世代の原子スケールでの半導体デバイスを実現するために、金属酸化物薄膜、high-k絶縁膜の室温原子層堆積法を実現した。室温化に成功した膜種は、TiO2、HfO2、Al2O3、Ga2O3である。これを実現するために、多重内部反射赤外吸収分光を活用した表面反応の其の場計測を実施した。その結果、上記膜種を製膜するために用いた有機金属プリカーサー(TDMAT、TEMAH、TMA、TMG)はいずれも酸化物表面に吸着するときに、表面のハイドロキシル基を介して吸着すること、さらに表面をハイドロキシル化しておけば室温でも吸着することを明らかにした。また上記プリカーサーの飽和吸着表面を用意して、誘導性プラズマで励起した水蒸気、水蒸気酸素を表面に照射したところ、表面飽和吸着種を効果的に酸化し、表面にハイドロキシル基を形成できることをあきらかにした。上記その観察試験から原子層堆積プロセスを設計し、TiO2、HfO2、Al2O3、Ga2O3のにおいて、成膜速度としてそれぞれ0.16、0.26、0.15、0.05nm/cycleを記録した。また、開発した室温ALDでTiO2とAl2O3においては、多数サンプルの同時成膜、複雑形状への全面製膜が可能であることが分かった。またAl2O3膜では、ステンレスやアルミ材にコーティングすると、塩酸にたいして腐食耐性が向上することが分かり、防蝕コーティングとして活用できることが明らかになった。またAl2O3、TiO2においてはPETボトル容器の内面および外面の両面に同時成膜ができることがわかり、ガスバリア膜として活用することで、食品、飲料保存や薬品封入などのPETボトルの用途拡大の可能性を見出した。
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