研究概要 |
我々は非平衡度の高いリモートプラズマ励起・有機金属化学気相堆積法(RPE-MOCVD)を開発し検討を進めた。ウルツ鉱型 Zn(Cd, Mg)O系3元薄膜でMg組成25%からCd組成67%まで組成制御(Eg=3.7-1.6eV)を可能とし、紫外から近赤外域のバンドギャップエンジニアリングに内外で初めて成功し、LED,PD動作を実現、そのフィージビリティを示した。今年度は、可視域PV応用を念頭に、低キャリア濃度ZnCdMgO 4元混晶成長の可能性を追求した。その結果、Mgを2%程度含む系の成長に成功し、キャリア濃度も一桁低減出来た。実際PEDOT:PSS電極を用いたショットキーダイオードを作成し、Voc:0.16VのPV特性を可視域酸化物半導体で内外で初めて実現出来た。またJST-MINECOの国際共同研究プログラムで4年仁枝君を2014年1月12日より3週間UPM-ISOM研に共同実験のため派遣でき、国際交流を深めると同時に相互相補の実験協力を進めた。 カーボンはグラファイト、ダイアモンド等の形態で知られカーボンコンポジット等、様々な応用がなされている。我々はグラフェンに着目し、金属触媒上はなくアルコールCVD直接成法を用いた酸化物結晶基板上での均一・大面積グラフェンの制御の可能性を検討してきており、これまでグラフェンFETの基本動作にも成功した。今期は、透明導電膜への展開も念頭に、ポストアニール等によるシート抵抗値低減の検討と同時に、実際に石英ガラス基板上に直接成長したグラフェン電極を、本学の久保野研の液晶素子と、SiO2上で同じく本学の猪川研の単電子素子に展開出来る事を示した。
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