研究概要 |
平成26年度は2,6,10-tricyano-3,7,11-triethoxy-1,4,5,8,9,12-hexaazatriphenylene (HAT)(CN)6分子を合成した。また、得られたHAT-(CN)6分子の微粒子をグラフェンナノリボン (GNR)に吸着させた際の電気特性変化の挙動を見た。すると微粒子径がGNR幅よりも小さい場合には、ナフタレンジイミド微粒子の吸着時と同様、微粒子数にプラトー領域が比例するという結果が得られた。しかしながら、微粒子径がGNRの幅より大きい場合には半金属のままであった。また微分コンダクタンスは±1Vの幅に9個のピークを示した。これが半導体のツェナートンネル現象の際に見られる現象と非常に近いことが分かっている。これらの結果から吸着微粒子はグラフェンナノメッシュのメッシュ孔と同じ働きをし、微粒子のない部分のみに電流が流れることが分かった。 また単層カーボンナノチューブ(SWNT)のアンジップに成功し非常にクオリティの高いGNRを得ることに成功した。これまで2層カーボンナノチューブ由来のもののみでアンジップに成功していたので、これで幅の違うグラフェンナノリボンの作り分けに成功したことになる。特にSWNTをアンジップした場合にはその幅が数nmになる。一般的に10nmを切るGNRは半導体性を示すことから、有機分子が半金属性、半導体性の両者に吸着した際に示す電気特性の違いが注目される。
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