研究課題/領域番号 |
24510151
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
笠井 智成 岡山大学, 自然科学研究科, 技術補佐員 (30530191)
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研究分担者 |
橋本 英樹 岡山大学, 自然科学研究科, 助教 (60579556)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 鉄酸化細菌 / DDS / 細胞培養 / クロロトキシン / 分子標的 |
研究概要 |
細菌が生産する酸化鉄や酸化マンガンといった金属酸化物についての解析を行い、常温常圧下で生産が可能、すなわち低エネルギーコストで生産が可能な新規材料として、細胞培養の基材やドラッグデリバリーシステム(DDS)の担体として応用することを目的とする。平成24年度は、鉄酸化細菌の単離を試みる一方で、単離したマンガン酸化細菌について同定を行った。また、細胞培養基材としての可能性を探索し、DDSに用いるためのがん細胞をターゲットとするリガンド分子の解析を行った。 細菌が生成する酸化鉄をSEM, STEM, EDXを用いて解析したところ、中空でナノメートルサイズのカプセル状粒子やマイクロメートルサイズのチューブ状物質が観察され、これらを効率的に生産する細菌を分離した。しかし、単離には至っておらず純粋に培養するためには更に単離を試みる必要がある。単離したマンガン酸化細菌や単離を試みている鉄酸化細菌は保存用溶液中、-80℃での保存が可能であることが分かったので、菌の形態や産生する酸化物の形状を指標としてライブラリーの構築を進めている。これらの結果は、今後、目的や用途に素早く対応して材料を供給するために非常に重要である。 一方、動物細胞用の培養液中にBIOXを添加して、がん由来の細胞株を培養すると細胞塊を効率良く形成することが分かり、培養基材として応用できる可能性が示唆された。また、DDSの為のリガンド分子として、がん細胞を標的とする目的で、クロロトキシンタンパク質にヒトIgGのFcドメインを融合したタンパク質を設計して作製し、細胞標的効果や増殖活性に与える影響について解析を行った。さらに、ヒト乳がん由来細胞を用いて抗体薬に対する耐性機構について解析を行い、今後のDDS開発に向けて、意義が大きい結果を得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
鉄酸化細菌の単離はやや遅れている一方で、生産された酸化物の構造解析は順調に進展している。また、主に平成25年度以降に実施を予定していた培養基材への応用研究のための予備実験が計画以上に進展しているため、おおむね順調であると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
培養基材に応用する実験が計画以上に順調であるため、平成25年度以降はスフェロイド培養およびDDSへの応用の検討を重点的に推進する。平成25年度前半には鉄酸化細菌の単離をさらに試みるが、集積培養系で生産された酸化鉄を用いて新規化合物の探索や細胞培養実験を同時に進める。計画の大幅な変更は無い。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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