研究課題/領域番号 |
24510151
|
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
笠井 智成 岡山大学, 自然科学研究科, 助教 (30530191)
|
研究分担者 |
橋本 英樹 岡山大学, 自然科学研究科, 助教 (60579556)
妹尾 昌治 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (90243493)
|
キーワード | 鉄酸化細菌 / DDS / 細胞培養 / 培養基材 / 分子標的 / クロロトキシン |
研究概要 |
25年度は1)BIOXを生産する細菌の単離と培養、2)動物細胞培養基材への応用、3)DDSに応用するためのリガンド分子の解析を行った。 BIOX産生細菌を単離する目的で培養条件、培地成分の検討を行った結果、1種類の菌を新たに単離することが出来たため、16S rDNA解析や大量培養法の検討、鉄鞘の構造解析を進めている。また、光学顕微鏡観察結果からは、本単離菌が生産する酸化鉄は集積培養系のBIOXと同様に表面が滑らかな直線状の酸化鉄を形成していると考えられ、新規の単離菌の可能性が高い。 動物細胞培養基材への応用検討を進めた結果、ヒト由来がん細胞株やマウスiPS細胞、マウスiPSから作成したがん幹細胞(miPS-CSC細胞)をそれぞれ培養する際にBIOXを培地に添加することによって、細胞塊を効率良く形成させ、維持することに成功した。miPS細胞の細胞塊の共焦点顕微鏡観察、およびqRT-PCR法による遺伝子発現解析から、多分化能を維持したまま細胞塊を形成させることが可能であることが判ったため、前駆細胞を均一かつ大量に生産する方法の開発や希少タンパク質生産に向けた足がかりを得たと考えている。 DDSに応用するためのリガンド分子として、がん細胞を標的とする目的で、クロロトキシンタンパク質にヒトIgGのFcドメインを融合したタンパク質(CTX-Fc)のヒト膵臓がん由来細胞(PANC-1)に対する効果を調べた。CTX-FcはPANC-1の遊走や浸潤を阻害すること、細胞内に取り込まれること等が明らかとなり、今後のDDS開発に向けて、意義が大きい結果を得られた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度はやや遅れていたBIOX産生細菌の単離培養が進展し、25年度はほぼ計画通りに進展した。動物細胞培養基材への応用では、マウスiPS細胞を用いて新たな知見が得られた他、親和性メカニズムの解析に向けた準備も進んでいる。DDSへの応用検討については、リガンド候補としたタンパク質の有効性が大いに期待できる結果が得られた。以上の理由からおむね順調であると評価できる。
|
今後の研究の推進方策 |
25年度までに、動物細胞培養基材としての有用性が高いことが判ってきたため、希少タンパク質生産系への応用検討を推進する。また、親和性メカニズム、BIOXが細胞塊形成に与える影響について解析を行う。単一系BIOXを用いて、新規分子の探索とDDSへの応用を進める。
|