研究課題
ヒト肝臓がん由来細胞株HepG2細胞をチューブ状酸化鉄L-BIOXの存在下で培養した場合、培養10日後には非常に大きな細胞塊を形成することを明らかにした。さらに、大きな細胞塊形成によって肝臓細胞の分化マーカーの一つである血清アルブミンの分泌量が顕著に亢進し、通常の接着培養と比較して3倍以上に達することを明らかにした。また、L-BIOXの用量依存性を試験した結果から、1 mg/mlの濃度での添加が最適であることが判った。加熱処理(300°C, 500°C, 700°C, 800°C)をしたL-BIOXを1mg/mlの濃度で培地に添加して、HepG2細胞を培養すると、700°Cで細胞塊直径が最大となった。一方、人工の2-line ferrihydrite、およびL-BIOXから鉄を除去したL-シリカチューブでは細胞塊の形成が認められなかった。800°Cで加熱処理したL-BIOXでは細胞塊形成を全く促進しなかったことから、①チューブ状構造、②表面のシリカ、③多孔質構造、の3点が細胞親和性と巨大な細胞塊形成に非常に重要な要素であることが強く示唆された。L-BIOXを添加して細胞塊を形成した場合の細胞の応答を調べるために、1)通常の接着培養、2)非接着培養(L-BIOX非添加)、3)L-BIOXを添加した非接着培養の各条件でHepG2細胞を2週間培養して、RNAを抽出し、マイクロアレイ解析を行った。細胞および細胞間接着、酸化ストレスなどに着目して、それぞれに関わると報告されているタンパク質をコードする遺伝子の発現を調べると、L-BIOXを添加した場合には、接着培養と非接着培養(L-BIOX非添加)の間であることが判った。
すべて 2014 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)
Anticancer Research
巻: 11 ページ: 6289-96
10.7150/jca.8865
PLoS One
巻: 9 ページ: e107976
10.1371/journal.pone.0107976
International Immunopharmacology
巻: 2 ページ: 283-92
10.1016/j.intimp.2014.05.007.
Journal of Stem Cells & Regenerative Medicine
巻: 1 ページ: 2-7
http://www.cyber.biotech.okayama-u.ac.jp/senolab/