研究実績の概要 |
本研究では, (Zr,Ti)-Nb系超電導合金の微細組織化を行い,アモルファス相とナノ結晶相からなる複合組織を有する(Zr,Ti)-Nb系金属ガラスを作製し,(Zr,Ti)-Nb系金属ガラス前屈体からナノ結晶超電導合金の作製を試みた.(Zr,Ti)-Nb系超電導合金の微細組織化には液体急冷法を用いた. Zr65Nb35合金にAlおよびCo元素を添加したZr65-xNb20Al15Cox液体合金を単ロール液体急冷により作製することにより,アモルファス・ナノ結晶複合組織からなるZr65-xNb20Al15Cox前屈体を作製することができた.Zr65Nb35合金へのAl元素の添加では,合金の微細組織化はほとんど生じなかったが,Zr65Nb20Al15合金へのCo元素の添加は,合金のアモルファス化に大きく寄与することが明らかとなった. 20 nm以下のナノ結晶がアモルファス構造中に分散した組織を有するZr65-xNb20Al15Cox前屈体は4K以下で超電導特性を示した.数nm程度のナノ結晶がアモルファス構造中に分散した組織を有し,約3Kの臨界温度を示すZr55Nb15Al15Co9Ti6前屈体を熱処理することで,約5Kのナノ結晶超電導合金を作製することができた.鋳造法によりNb55-xTi30Al15Cox系合金バルク前屈体の作製を試みた.Nb-Ti系合金へのAl,Co元素の添加では,合金組織のナノ組織化には至らなかった.Ti含量が多いNb55-xTi30Al15Cox場合,アモルファス・ナノ結晶複合組織からなるバルク前屈体の作製のためには,さらに合金組成の精査と最適化を行う必要がある.
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