研究課題
近年、金属の微細な粒子を有機物で保護したナノ粒子を液晶へ添加することで、その機能改善が試みられている。以前、我々は、シクロデキストリンで保護したジルコニアナノ粒子を液晶に添加することで液晶表示素子(LCD)の応答速度が高速化することを報告した。本研究では、架橋シクロデキストリンで安定化した金/ジルコニア複合ナノ粒子を創製し、これを液晶に分散させ、その電気光学特性について評価した。架橋シクロデキストリン(PCyD)を安定化剤に用い、ジルコニウム(Ⅳ)エトキシドのテトラエチレングリコール溶液を超音波・マイクロ波照射することにより、PCyDで安定化されたジルコニア(PγCyD-ZrO2)ナノ粒子分散液を調製した。このPγCyD-ZrO2ナノ粒子分散液に塩化金酸(Ⅲ)を添加すると金イオンが還元され、PγCyD-Au/ZrO2複合ナノ粒子が得られた。過型電子顕微鏡観察観察の結果、PγCyD-Au/ZrO2複合ナノ粒子の平均粒子径(標準偏差)は2.8 nm (0.6 nm)であった。調製したナノ粒子を実用液晶(DIC(株))に混合後、LCDを作成し、Photal LCD-5200(大塚電子(株))を用いて、駆動電圧と応答時間で評価した。調製したナノ粒子添加液晶の駆動電圧は、ナノ粒子未添加の1.99 Vに対し、若干の低電圧シフトを示した。応答時間は、液晶に電圧をかけて立ち上がり始めてから暗表示になるまでの τonと、電圧を切り液晶が元に戻り始めてから明表示に戻るまでの τoffで評価した。PγCyD-Au/ZrO2複合ナノ粒子を添加した τon+τoff の値は、10.4 msec で、ナノ粒子未添加液晶の応答時間12.8 msecと18.9 % 応答時間が短縮した。この応答時間の短縮は、ZrO2と金を複合化させた効果によるものと思われる。
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