走査型トンネル顕微鏡(STM)および密度汎関数(DFT)法に基づくSTMシミュレーションを用いて、Si(100)表面第一層に埋め込まれたリン(P)-シリコン(Si)ヘテロダイマーの電子状態を調べた。先行研究によれば、P-SiヘテロダイマーはP原子が真空側に突き出し、Si原子が表面側に沈み込んだバックリング構造をとるとされている。しかし精密なSTM計測とDFT計算を行ったところ、ヘテロダイマーはP原子が表面側に沈み込んだ構造であることが判明した。またヘテロダイマーのSi原子側にはフェルミ準位付近に強い状態を持つことや、P原子と空孔の対はスピン偏極した状態を持つ可能性があることが明らかになった。
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