研究概要 |
本研究の目的は、イオン性液体を屈折率マッチング媒体として用い、高開口数(NA:1.3~1.5)の液浸対物レンズを高真空中(~10-6 Torr)に置く光学配置を用いる新規顕微ユニットを様々な分光計測(蛍光検出による単一分子分光、顕微ラマン散乱分光計測、表面プラズモン顕微計測、非線形顕微計測等)への広範な応用を実証していくとともに様々な物質系に適用していくことである。本年度は昨年度に引き続き、蛍光検出による単一分子分光特に単一の蛍光体の双極子放射パターンの観測及び表面プラズモン顕微計測、ラマン散乱顕微分光、非線形光学顕微計測等の計測系の構築を進めた。 自家蛍光が小さく、不揮発性であり、屈折率が1.5でありカバーガラスの屈折率と非常にマッチングが良い、ホスホニウム系のイオン性液体を見出し、そのイオン性液体を利用することにより、高真空及び周囲ガス環境下(高純度窒素中)での単一の蛍光分子(ペリレンビスイミド)のきれいな双極子放射パターンの観測に成功した。 査読付き論文としては、Journal of Physics: Conference Series, Vol.417, pp.012056-1-4, 2013, pp.012056-1-4.が出版された。また国際会議(Collaborative Conference on Materials Research (CCMR) 2013, Jeju island, Korea)では本研究に関して招待講演を行った。 また本研究に部分的に関連する単一蛍光体周りの誘電環境の制御を試み、誘電体の周期構造である2次元フォトニック結晶を作製し、輻射場の制御に関しても発表を行った。
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