研究実績の概要 |
本研究の目的は、イオン性液体を屈折率マッチング媒体として用い、高開口数(NA:1.3~1.5)の液浸対物レンズを高真空中(~10-6 Torr)に置く光学配置を用いる新規顕微ユニットを様々な分光計測(蛍光検出による単一分子分光、顕微ラマン散乱分光計測、表面プラズモン顕微計測、非線形顕微計測等)への広範な応用を実証していくとともに様々な物質系に適用していくことである。蛍光検出による単一分子分光特に単一の蛍光体の双極子放射パターンの観測及び表面プラズモン顕微計測、ラマン散乱顕微分光、非線形光学顕微計測等の計測系の構築を行った。 本年度はイオン性液体以外の屈折率マッチング媒体として、2種のシリコーン(シロキサン結合による主骨格をもつ高分子化合物)の混合液により、不揮発性であり、屈折率が1.5でありカバーガラスの屈折率と非常にマッチングが良い、液体を見出した。これにより様々な顕微分光への応用が可能になると考えられる。本研究に関連するイオン性液体自体の物性についても研究を進めた。イオン性液体は難揮発性、高イオン電導性、不燃性、高熱安定性、特異な物質溶解能、広い電位窓、広い液体範囲などの特異な物性を示す液体であるが、その特異な物性の起源を明らかにするために分子間相互作用が関連する周波数領域(テラヘルツ周波数)の振動分光を行った。 査読付き論文としては、Materials, 2014, Vol.7, pp.7409-7422, 2014が出版された。
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