研究課題
本研究の目的は、複数の分光感度特性を持った画素を配列した多波長非冷却赤外線アレイセンサを実現する基本技術を開発することであり、このためには、製造工程内で同時に複数の波長選択性実現できる赤外線吸収構造を開発することが最重要課題である。研究計画では、初年度の目標は、吸収層として多層薄膜などを用いて赤外線吸収構造を作製し、その特性をFTIRによる光学測定を行うとともに波長選択性をもった単画素赤外線センサを試作、評価し、応用を視野に入れて方式の絞り込みを行うことであった。平成25年度までに、受光面に周期的凹部を配列した金属膜を形成したプラズモニクス吸収体を用いることで波長選択性が実現でき、配列する凹部の形状に非対称性を導入することで偏向検知も可能であることを示していたが、波長8ミクロン以上でプラズモニクス吸収体の吸収帯域外の大きな感度が実用化の障壁になることがわかっていた。最終年度である平成26年度には、この帯域外不要感度の発生原因が、受光部に支持構造などにおける光吸収であることを明らかにし、プラズモニクス吸収体構造を持った画素と金属面が平坦な同一形状の画素の出力の差分を2つの画素のサーモパイルを逆接続することで、不要帯域外感度を含まない出力が得られることをTEGの試作、評価により確認した。また、波長4.5ミクロンを吸収する画素を用いてCO2の濃度変化による吸収量を変化の測定を行い、今回の方式でガス検知や火炎検知が可能であることを実証した。また、偏向検知については、ストライプパターンを使うことで、波長の広帯域化ができることを実験的に確認した。
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Sensors and Materials
巻: 26 ページ: 215-223
巻: 26 ページ: 225-234
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Optical Engineering
巻: 53 ページ: 1071101-1071105
10.1117/1.OE.53.10.107110