平成24年度では、両親媒性高分子の“自己組織化能”と“金属イオンの還元能”を利用して、シリカ粒子上への金ナノ粒子の自己形成・自己集積化について検討した。その結果、反応温度80℃において、ポリエチレンオキシドーポリプロピレンオキシド(PEO-PPO)ブロック共重合体であるPluronic L64とPEOホモポリマーであるポリエチレングリコールを使用した場合に、シリカ上に金ナノ粒子が集積されることが明らかとなった。Pluronic L64の場合には、約3 nm径の金ナノ粒子が島状に集積され、PEOホモポリマーの場合には、約3 nm径の金ナノ粒子が均一に集積されることが分かった。平成25年度では、マイクロメートルサイズのシリカ粒子(シリカマイクロ粒子)上での金ナノ粒子の次元制御およびパターニングについて検討した。その結果、反応温度25℃においてシリカマイクロ粒子上に板状(2次元)金ナノ粒子が形成することが明らかとなった。また、反応温度80℃において、シリカマイクロ粒子上に球状(0次元)金ナノ粒子が高密度に集積することが明らかとなった。すなわち、シリカマイクロ粒子上での金ナノ粒子の0次元(0D)、2次元(2D)配列に成功した。平成26年度では、球状金ナノ粒子(0次元(0D))が集積したシリカマイクロ粒子と板状金ナノ粒子(2次元(2D))が集積したシリカマイクロ粒子を用いて触媒活性を評価したところ、球状金ナノ粒子(0次元(0D))が集積したシリカマイクロ粒子の触媒活性が高いことが明らかとなった。以上のことから、シリカ粒子上への金ナノ粒子の集積状態は、触媒活性と密接な関係があることが見出された。
|