研究課題/領域番号 |
24510182
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
永田 京子 東京工業大学, 社会理工学研究科, 准教授 (10345366)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | IPO / アンダープライシング / 初期収益率 / ファンダメンタル・バリュー |
研究実績の概要 |
研究3年目にあたる平成26年度は、引き続き平成25年度までに行った実証分析の結果(各企業のファンダメンタル・バリューを推定し初値と比較することで、株式市場で初めて成立するため「真実価値」を反映すると期待される初値が実際には過大もしくは過小になっていないか(ミスプライシング)を検証)をもとにワーキング・ペーパーの執筆に取り組んだ。既存研究では、市場で説明する価格は「真実価値」を表すとの前提に立ち、初期収益率は公開に先立ってつけられる公開価格がディスカウントされるために生じると説明されてきたが、本研究では 市場による「ミスプライシング」の可能性があり、公開価格でのディスカウントに加えてそうしたミスプライシングも初期収益率を拡大させる重要な要素であるという仮説の下で研究を進めてきた。利益調整との関係に焦点を当てた 一部の成果については平成25年度に論文として査読付き学術誌で公表済みであり、平成26年度は本研究課題のメインテーマに関する成果として、株主構成に焦点を当てた分析結果を取りまとめ、共同で研究を進めているアメリカおよびオーストラリアの研究者と討議・意見交換を行った。その結果、現状のワーキング・ペーパーに公開価格とファンダメンタル・バリューとの乖離との関係についても併せて分析することで、新たな知見につながる可能性があるという着想を得るに至った。そこで、当初の計画に加え、新たに株主構成とアンダープライシングとの関係性、およびファンダメンタル・バリューと公開価格との乖離を組み合わせた新たな仮説の構築を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既に一部の成果については査読付き学術誌に公表済みである。また、当初、主にIPO時点の株主構成とアンダープライシングとの関係性について分析した結果を国際会議で発表する予定であったが、他の研究者と討議するなかで新たな着想を得たうえで、さらに別の仮説も取り入れる形で発展させることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度において最終的な成果を論文として取りまとめ、国際会議で報告後、学術誌に投稿する計画であったが、海外研究者と意見交換するなかで新たな着想を得た。このため、平成27年度において、追加した仮説の検証結果を加えるとともにワーキング・ペーパーの大幅加筆・改訂作業を引き続き行ったうえで、 成果を国際会議で報告を行い、学術誌に投稿する計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度において最終的な成果を国際会議で報告する計画であったが、ワーキング・ペ-パーを元に海外の研究者等と討議を重ねるなかで新たな着想を得るに至った。このため、仮説の追加およびワーキングペーパーの大幅加筆・改訂を行った後に発表を行うととしたため、平成26年度に国際会議での報告費用分の残額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
引き続き、結果の取りまとめおよび論文の執筆に取り組み、繰越額については平成27年度に国際会議で報告するための旅費および査読付き国際誌への投稿料に当てる計画である。
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