研究課題
本研究は、CS(顧客満足度)向上が企業経営の柱となっている中、CS生成の理論モデルは期待―不確認モデルに代表される理性的な認知プロセスに基づくものであったのに対して、感情プロセスの影響、情緒的価値の影響がより大きいことを立証したものであり、さらに日本、米国、ドイツ、フランス、中国、タイ、ボリビア、インドネシア、エクアドル、スリランカの世界10ヶ国の15の製品・サービスのCS調査を通して、その影響の大きさが国の文化の影響を受けることを明示したものである。具体的には、以下に示すような製品・サービスの企画やマーケティング戦略上有用な新たな知見を与えた。CSが、理性的な認知プロセス、実用的価値に基づくだけでなく、情緒的価値の影響をより受けるCS生成メカニズムをパス解析により定量的に示した。さらにその中で企業イメージの影響が知覚品質や知覚価値を通した間接効果を加えると、最もCSや再購買意図への影響が大きいことを示した。さらにCSの大きさは日本が低いという傾向だけでなく、企業イメージがCSに与える影響を含めたCS生成メカニズムも国の文化(不確実性回避の中の項目、CS平均に与える影響と企業イメージに与える影響ではその項目も異なる)で説明できることを定量的に示すことに成功した。例えば、企業イメージのCSに与える影響の大きさは、特に米国や中国では大きく、ドイツや日本では相対的にその影響は低い(他の国は両者の中間)ことを示した。そして企業イメージの中でCSにプラスに寄与するのは、知名度ではなく、魅力的・個性的であるというアウトスタンディングイメージであることを日本のデータで検証した。
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