研究課題/領域番号 |
24510184
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
花岡 伸也 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (90467027)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 国際情報交換 |
研究概要 |
研究実施計画では,平成24年度は「在庫管理の問題点の同定とモデル化に必要な要因の整理」のみ実施する予定であった.しかしそれに加え,倉庫配置の現状が最適であるかどうかの検討も行った.以下,その検討結果を示す. 国際連合世界食糧計画(WFP)は,自然災害発生時に被災者を支援する目的で,イタリア,ガーナ,アラブ首長国連邦,マレーシア,パナマにUnited Nations Humanitarian Response Depot(UNHRD)と呼ばれる倉庫を配置している.また,アジア,オセアニア地区は大規模災害の発生頻度が世界的にも高く,一災害あたりの被害者数は極めて多いことがインタビューや文献調査で明らかになった.そこで本年度は,自然災害の発生数とその被害者数が多いアジアとオセアニア地区を対象に,UNHRDの最適配置について検討した.定式化にはpメディアン法を用い,需要と距離に加え,人口,災害発生頻度を各国が有する自然災害に対する脆弱性として考慮した. 分析の結果,地震,異常気象によって被災した大多数が中国で被害に遭っていることが分かった.中国に次いで被災者が多いのはインドとパキスタンで,地震による被害が多かった. また,オーストラリアにUNHRDの中間施設を設置すると,施設から需要地点までの最大距離を最小化することができる.中国に施設を設置した場合,施設から重要地点までの距離を最小化することが可能と分かった.現時点では,UNHRDの施設はマレーシアに設置されているが,本研究の結果から,現状の中間施設設置は最適でないことを示している。 また,平成24年度は,研究実施計画では平成25年度に実施する予定であった倉庫内の在庫管理モデルについても部分的に検討を行った.来年度は,このモデルにさらに改良を加え,モデルを完成させる予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画では,平成24年度は「在庫管理の問題点の同定とモデル化に必要な要因の整理」を実施する予定で,それらの目標はインタビュー,文献調査を通じて達成した.平成25年度は,これらの要因をベースに,在庫管理モデルの開発を実施する予定である.しかし,平成24年度中に,前倒しで在庫管理モデルの開発に着手した.また,「研究実績の概要」で述べたとおり,UNHRDの施設配置が最適に行われているかの検討も行った.以上より,現在までに当初の予定を前倒ししており,かつ追加で分析をお行っていることから,「おおむね順調に進展している」とした.
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は,平成24年度に同定された要因に基づきHLにおける在庫管理モデルを開発する.なお,平成25年度に開発するモデルについては,平成24年度中に部分的に着手している.HLにおける在庫管理モデルは非常に複雑であり,作業が多くなるものと見込まれるため,研究分担者を一名加えてモデル開発を担当してもらうことになった.そのため,今年度も研究実施計画に沿って研究を遂行できる見込みである.また,モデルを開発するにあたり,国によって経済状況,インフラの整備レベル,被害の規模など事情が異なることから,モデルの適用候補となる被災国・地域の詳細情報を引き続き収集する.具体的には,専門家・実務家に対してインタビュー調査を実施し,情報提供を依頼する予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし.
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