研究課題/領域番号 |
24510185
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
鶴田 三郎 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 教授 (30114911)
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研究分担者 |
黒川 久幸 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 教授 (50282885)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 見える化 / 物流情報 / 災害時物流 / 物流 / 救援物資 / 支援物資 / 緊急物資 |
研究概要 |
東日本大震災においては物資が被災地に届かないことが重要な問題となった。この問題を解決するためには、何が必要とされ、何をどこに、どのように流すべきか、また物流基盤の状況はどうなっているのか等、物流情報の効果的な「見える化」を行うための、「見せる」べき情報と表示方法、そしてその情報の表示方法の効果について調査・実験を行う必要がある。 そこで平成24年度は、災害時物流において「見せる」べき情報、およびその情報の効果的な表示方法について調査を行った。調査では、救援物資の集積地における物流業務の状況について実際に現地で作業を行った方に話を伺うとともに、被災地において重要な産業である水産業を中心に漁協や加工場における物流について調査を行った。 調査の結果、震災直後に大量の救援物資が集積地に集中し、保管スペースの確保が困難であったこと、ダンボールに梱包された物資の中には、梱包を解かないと中身を確認できなかったこと、当初は集積地において物資の仕分けが行われていなかったため、必要な物資を探すのに戸惑ったこと、そして、避難場所に物資を搬出する際の運搬通路を考慮していなく、搬出に支障があったことなどが分かった。これらのことから、集積地の保管容量を超える物資が届かないように、事前に各集積地の保管容量を見える化するとともに、救援物資の総量を見える化し、コントロールしておくことが重要であることが分かった。また、特に個人からの救援物資については、ダンボールの外側に中身の情報を記載するとともに、仕分け作業を軽減するためにも混載を避けることが重要であることも分かった。 その他、水産業に関する調査では津波によって変化した海底地形の状況や道路網の通行可能状況など、事業を再開するための基盤となる情報の見える化を望む声があった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画にしたがって、被災地における具体的な事例の調査を実施するとともに、平常時における事例調査として複数の物流現場の具体的な物流業務について調査を実施できた。これにより、物流において「見せる」べき情報の抽出を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
災害時物流において「見せる」べき情報には、集積場の保管容量や救援物資の種類・量など、物流基盤の情報や物資に関わる情報のほか、ピッキングや配送などの物流業務を遂行するための情報がある。そして、これらの情報のうち、救援物資の滞留をもたらしている大きな要因となっているのは、物流業務を遂行するための情報が見える化されていないためであった。 そこで平成25年度は、集積場における入荷やピッキング、そして出荷の物流業務に関する「見せる」べき情報の整理と効果的な表示方法について検討する。 特に災害直後は物資の細かな分類を行っている余裕はなく、ある程度の塊で物資を分類し、保管場所を決定していくことが重要である。 そこで、具体的な物資の分類方法や保管場所の設定方法に関する数値実験を行うための設定の検討を行うとともに、実験結果が妥当であるか震災時の事例等とも比較し、検証を行う。 そして実験結果から入荷や出荷等の物流業務を遂行する際の集積場における物資のロケーションに関する情報の見える化について、「見せる」べき情報とその表示方法について検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度に引き続き、災害時物流において「見せる」べき情報、およびその情報の効果的な表示方法に関する検討を行うために、被災地及びそのほかの物流現場の調査を行うために旅費を計上する。また、この調査では本年度実施を予定している数値実験を行うための物資の種類や数量等に関する情報の収集を行う。 そして数値実験では物流用のシミュレーションソフトウェアを用いることを予定している。このためソフトウェアを使用するための経費の支出を予定している。 また、収集した情報やデータの整理を行うために、作業補助者を雇用することを予定している。 その他、研究成果を学会等で発表するための経費を計上する。
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