研究課題/領域番号 |
24510185
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
鶴田 三郎 東京海洋大学, その他部局等, その他 (30114911)
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研究分担者 |
黒川 久幸 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 教授 (50282885)
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キーワード | 見える化 / 物流情報 / 災害時物流 / 物流 / 救援物資 / 支援物資 / 緊急物資 |
研究概要 |
震災時には被災地に救援物資が迅速に届けられる必要がある。このためには輸送、保管、荷役等の物流業務に必要な物流情報が各業務を担う作業者に「見える化」されていなければならない。調査の結果、先の東日本大震災では集積所における救援物資の滞留が問題であることが分かり、既存の物流施設の調査をもとに、その問題解決策の検討を実施した。 既存の物流施設における物資の入荷から出荷までの物流業務を参考に、集積所における入荷やピッキング、そして出荷の物流業務における作業分析を行ったところ、全ての業務において救援物資の保管場所への移動を伴うことが分かった。そして、震災時の集積所に関する報道等の資料から救援物資の保管場所におけるロケーションの設定がなされていないことが原因で、物流業務の生産性を著しく低下させていることが判明した。つまり、目的の救援物資がどこにあるのか不明で、無駄に探し回っていたのである。さらに、平成24年度の調査から集積所の保管容量を超えた救援物資の送り込みもその原因の一つであることが分かった。そこで本年度はこの原因を解決するために、次の2つの設定方法を検討するとともに、この設定方法を用いて得られた結果から「見せる」べき情報の提示方法について検討を行った。 (1)集積所における救援物資の保管可能量の推計方法の検討 (2)集積所の保管場所における救援物資のロケーションの設定方法の検討 また、上記の集積所の保管場所における救援物資のロケーションの設定については専門家のヒアリングから、より実務に即した検討として運搬機器等を考慮した通路幅の設定や床の耐荷重を考慮した保管等について課題の指摘をいただき、次年度に向けた検討課題の抽出を行うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画にしたがって、前年度に収集した例をもとに、物流において「見せる」べき情報の検討を実施した。その結果、集積所における救援物資の滞留の真の原因が、救援物資のロケーションの設定方法が定められていない点にあることを明らかにした。 そして、この原因を解決するために救援物資のロケーションを設定するための方法論を検討したほか、集積所における救援物資の保管可能量の推計方法を提案した。また、得られたロケーション情報をどのように関係者に提示すべきか検討を行い、「見せる」べき情報の効果的な表示方法について検討することができた。 さらに、ヒアリングからより効果的な情報の表示に関するアドバイスをいただき、次年度に向けた検討課題の抽出を行うことが出来た。 以上のことから計画通り順調に研究が進んでいると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
物流施設における調査から、集積場における入荷やピッキング、そして出荷の物流業務を検証したところ、救援物資の滞留の問題となっているのは、物流業務の生産性の低さにあることが分かった。そして、この物流業務の生産性の低下を招いている原因が、物流業務を担う作業者に本来、「見せる」べき情報である救援物資のロケーション情報を提示していないことであることが分かった。また、この真の原因としてそもそも作業者に「見せる」べき情報を提示できないのは、救援物資の保管場所におけるロケーションの設定方法が定められていないことにあることが判明した。 そこで平成25年度に、救援物資の具体的な保管場所におけるロケーションの設定方法の検討及びその結果の表示方法について提案を行い、専門家からより現実的な問題解決に向けた次のような検討課題をいただいた。 (1)荷役・運搬機器等を考慮したより現実的な通路幅を考慮したロケーションの検討 (2)体育館や公民館などの典型的な施設を想定した保管場所におけるロケーション例の作成 そこで最終年度である平成26年度は、これらの課題の解決に向けて、より実用的な救援物資のロケーションの設定に関する提案が出来るようにさらに研究を推進することとする。そのために集積場として用いられる体育館や公民館などの施設について調査を行うための作業補助者を雇用するとともに、収集したデータの整理を依頼する。また、収集した施設の床の耐荷重や出入口等の位置関係などを分類・整理し、これらの要因を考慮した救援物資の保管場所におけるロケーションの設定方法について検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
購入物品や旅費等予算をオーバーしないように予算以内で執行したため、結果として3万円弱の次年度使用額が生じた。 26年度の物品費の当初予算に追加して必要となる研究用物品の購入に使用する予定である。
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