震災時には被災地に救援物資が迅速に届けられる必要がある。このためには輸送、保管、荷役等の物流業務に必要な物流情報が各業務を担う作業者に「見える化」されていなければならない。調査の結果、先の東日本大震災では集積所における救援物資の滞留が問題であることが分かり、既存の物流施設の調査をもとに、その問題解決策の検討を実施した。 既存の物流施設における物資の入荷から出荷までの物流業務を参考に、集積所における入荷やピッキング、そして出荷の物流業務における作業分析を行ったところ、全ての業務において救援物資の保管場所への移動を伴うことが分かった。そして、この物流業務の生産性の低下を招いている原因が、物流業務を担う作業者に本来、「見せる」べき情報である救援物資のロケーション情報を提示していないことであることが分かった。また、この真の原因としてそもそも作業者に「見せる」べき情報を提示できないのは、救援物資の保管場所におけるロケーションの設定方法が定められていないことにあることが判明した。そこで本研究ではこの原因を解決するために、下記の2つの検討を行った。 (1)集積所における救援物資の保管可能量の推計方法の検討 (2)集積所の保管場所における救援物資のロケーションの設定方法の検討 そして、救援物資を保管するために必要な集積所における保管面積の推計方法及び救援物資のロケーションの設定方法を立案した。これにより、物流業務を担う作業者に「見せる」べき情報である救援物資のロケーション情報を提示可能となった。
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